微生物を使った発電の種類
微生物を使った発電には、廃棄物をメタン発酵させ、それを燃料としてタービンを回し発電する方法と、微生物が有機物を分解する過程で電気を発生させるのを利用した微生物燃料電池、藻菌バイオマスがオイルの代替となって火力発電を行う方法の3種類があります。
メタンガス化発電とは
メタンガス化発電は、すでに実用化している発電で、家畜の糞尿や生ゴミ、下水汚泥を微生物の力で発酵させてメタンガスを生成し、燃焼によって発生した蒸気でタービンを回して発電を行います。この発電方式は、温水を取り出して利用が可能なため高効率が期待できます。
またガスを作ったバイオ燃料の残りは、雑草の種子や病原菌が含まれない安全な肥料として再利用できます。さらにこのガス化発電は、バイオマスを直接燃焼させた場合と比較してCO2の排出が少ないというメリットもあり、温室効果ガスの削減が見込めます。
微生物燃料電池の仕組み
微生物燃料電池の仕組みは、微生物が入った容器の中に土を入れ正極板と負極板を挿入します。そこに有機物を与えると微生物はそれを二酸化炭素と水素イオン、電子に分解します。電子は負極から正極に流れ、水素イオンは正極で酸素と反応し水になります。
最近では、ジオバクター属の細菌と、シュワネラ属の細菌を利用した実験キットが販売されています。このキットは容器の中に土を入れ、上下に電極を置いて細菌の力で発電を行います。そしてLEDの点灯や時計の時間表示として発電が確認できるようになっています。
この微生物は、有機物の分解に電気を必要としないため、汚水処理に利用すれば、大幅な節電が出来ます。また水田などに利用した場合、既存のインフラを必要としないため山間部など場所を選びません。実際オランダの研究チームでは1ヘクタールの水田で300ワットの発電に成功しています。
藻菌バイオマスとは
最近オーランチオキトリウムなどの微細藻類がつくりだすオイルの「藻類バイオマス」に注目が集まっています。この藻類は、光合成をしないで周囲の有機物を吸収して生育し、高効率で炭化水素を生成します。
このオイルを火力発電に使用する場合は、精製の必要がなく、培養したものを直接ペレット状にして使用できます。また培養には耕作放棄地などの空いた土地が利用でき、2万ヘクタールの面積で日本の年間石油消費量が賄えます。ただしエサとなる有機物の確保が必要となります。
バイオマス発電の未来
日本はエネルギー基本計画で2030年には自然エネルギーで、総電力消費量の20~22%を賄う予定になっています。ただ太陽光や風力は、発電が不安定なため他の電源で補う必要があります。その点バイオマス発電は、設備利用率が50%以上あり自然エネルギーの中ではなくてはならない発電です。