発電コストの試算
今年4月、資源エネルギー庁より各電源ごとの2014年と2030年における発電コストの調査が報告されました。この試算方法は、各電源の資本費と運転維持費、燃料費、社会的費用の合計費用を発電電力量で割った値です。
また政策経費には、自然エネルギーにおける「固定価格買取制度」の買取価格の費用、および原子力に関する放射性廃棄物の処分保障措置調査費用や核燃料サイクルの安全に関する費用も含まれています。
2014年の発電コストの比較(kWhあたり)
2014年の発電コストは、原子力が10.1円です。自然エネルギーでは、風力(陸上)が21.9円、一般水力が11.0円、バイオマス発電(専焼)が29.7円、太陽光(メガソーラー)が24.3円、太陽光(住宅用)が29.4円となっています。ただしこの金額には政策経費を含んでいます。
ここで設備利用率は、原子力70%、風力20%、水力45%、バイオマス87%、メガソーラー14%、太陽光(住宅)12%です。また稼働年数は、原子力40年、風力20年、水力40年、バイオマス40年、メガソーラー20年、太陽光(住宅)20年として計算されています。
2030年の発電コストの比較(kWhあたり)
2030年の政策経費を含んだ予想発電コストは、原子力が10.1円、風力発電(陸上)が13.9~21.9円、風力発電(洋上)が28.7~33.1円、一般水力発電が11.0円、バイオマス発電(専焼)が29.7円、太陽光(メガソーラー)が12.7~15.5円、太陽光(住宅用)が12.5~16.4円です。
ここで設備利用率は、原子力70%、風力(陸上)20~23%、風力(洋上)30%、水力45%、バイオマス87%、メガソーラー14%、太陽光(住宅)12%です。また稼働年数は、原子力40年、風力(陸上洋上共)20年、水力40年、バイオマス40年、メガソーラー30年、太陽光(住宅)30年です。
2014年と2030年の比較
洋上風力発電は、日本ではまだ研究段階ですが、イギリスやデンマークでは自然エネルギーの主流として実用化されています。また太陽光発電のモジュールは、近年ヨーロッパでは大幅に下落しており、日本も近いうち追従していくはずです。
現在電気の市場価格は、電灯と電力を平均すれば約20円/kWです。今の段階では、自然エネルギーは採算ベースにありませんが、2030年には十分採算の取れる電源といえます。
エネルギー基本計画
昨年4月、更なる再生可能エネルギーの導入を目指すことが「エネルギー基本計画」で閣議決定されました。この計画では2030年の再生可能エネルギー導入目標値が示されています。
それによると太陽光発電は5300万kW(5.6%)、風力発電1000万kW(1.7%)、地熱発電165万kW(1.0%)、水力発電5560万kW(10.5%)合計12025万kW(21.0%)となっています。また原子力発電は、同じく20%程度の運転が予測されています。
環境省のおこなった再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査では、太陽光発電は14900万kW、風力発電185000万kW、地熱発電3300万kW、中小水力発電1400万kWという結果が出ています。エネルギー基本計画の原発目標は少し自然エネルギーにシフト出来るのではないでしょうか。