自然エネルギーの定義
日本は、各法律により再生可能エネルギーの定義が違います。環境省では、三菱総合研究所に委託し2050年の再生可能エネルギーの導入見込み量を推定しました。その検討の対象としたのは、まずFITの適用対象である「太陽光、風力、中小水力、地熱、バイオマス(発電)」です。
それからエネルギー供給構造高度法において定義されている「バイオマス(熱利用)、太陽熱、その他の自然界に存在する熱(地中熱、温度差エネルギー、雪氷熱、未利用熱等)」などの熱エネルギー、および未来のエネルギーとして開発中の海洋エネルギー(波力、潮流、海洋温度差)です。
FITに適用対象のエネルギー
太陽光発電は、太陽の光エネルギーを太陽電池パネルで受け、直接電気に変えるシステムです。また風力発電は、風の力で風車を回し、その回転運動を発電機に伝えて電気を発生させます。
中小水力発電は、農業用水路や小さな河川で、水の落差を利用して水車を回し発電するシステムです。地熱発電は、地下に蓄えられた温泉などの地熱エネルギーを蒸気や熱水として取り出し、タービンを回して発電します。またバイオマス発電は、動植物などの生物資源(バイオマス)を燃焼させて発電するシステムです。
熱を利用する自然エネルギー
バイオマスの熱利用は、バイオマスをボイラで直接燃焼させ、発生した蒸気の熱を利用する方法です。また、家畜排泄物や食品廃棄物をメタン発酵させガスの代わりに燃焼して利用する方法もあります。
太陽熱の利用は、太陽光を集熱板に受けて温水を作り利用します。このシステムはオイルショック後、盛んに導入されました。最近では外壁などに設置して暖められた空気を利用するソーラーウォールなども開発されています。
地中熱とは、比較的浅い地中の熱を利用するシステムです。地下10~15mの深さになると年間を通してほとんど温度の変化がなくなるため、夏や冬は外気との温度差が生じ、冷房や暖房に利用できます。
温度差エネルギーは、大気と河川や海水の温度差を利用して、冷房用の冷水や暖房用の温水として活用するものです。雪氷熱利用は、冬の間に降った雪や、氷点下の外気を使って凍らせた氷をアイスシェルターなどで保管し、冷熱が必要となる夏季に利用するものです。
未来の海洋エネルギー
波力発電は、海面の上下動によって生じる力を利用し、タービンを回して発電します。また打ち寄せてきた波を貯水池に溜め、貯水面と海面との高低差を利用して発電する「越波式波力発電」や、海岸の岩場にある潮吹き穴を人工的に造り、波の上下動で発電する「ブローホール式発電」もあります。
潮流発電は、潮の流れを水車で受け、その回転運動を利用して発電する仕組みになっています。また海洋温度差発電は、海洋表層の温水と深海の冷水の温度差を利用して発電を行います。この発電は沸点の低い媒体を表層の温水で気化させ、その気体でタービンを回転させ電力を得る仕組みになっています
日本の海洋エネルギーを利用した発電は現在研究段階ですが、フランスの「ランス潮汐力発電所」は、1967年から発電の実績があります。日本は世界第6 位の領海・排他的経済水域に囲まれた国です。この海洋エネルギーが実用段階に入れば、日本のエネルギー事情はずいぶんよくなります。