固定価格買取制度とは
固定価格買取制度(FIT)は、再生可能エネルギーの普及を目的に2012年7月1日、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(略称は再生可能エネルギー法)に基づいて施行されました。
この制度は、電気事業者に一定の期間、固定価格で再生可能エネルギーを買取ることを義務付けた制度です。設備投資したコストが確実に回収できる見込みがたったことで、2012年以降太陽光発電は急速に普及してきました。
調達価格と調達期間
調達価格と調達期間は、各電源ごとに、事業が効率的に行われた場合、通常必要となるコストを基礎に適正な利潤などを勘案して定められます。(資源エネルギー庁 ガイドブックより引用)
太陽光発電は、住宅用の10kW未満と非住宅用の10kW以上に分けられています。また住宅用も太陽光発電を単独で使用する方式と蓄電池などを併設するダブル発電では調達金額に差があります。また「出力制御対応機器設置義務」の有無でも差があります。
調達期間は、2015年度において住宅用は10年間、非住宅用は20年間です。なお、調達期間が終了後は、国の価格決定がなくなったということだけで、その後の買取金額については電気会社との話し合いになります。
太陽光発電導入量の推移
太陽光発電の導入量は、2009年に余剰電力買取制度が始まるまでは、約280万kWしかありませんでした。その後、FITが始まる2012年の7月までに、年間約120万kW導入され、制度が始まってから2013年度は約700万kW、2014年度は約900万kWと急速に普及してきています。
とくに非住宅用の伸びが著しく、2012年7月には約90万kWしかなかったものが、2013年度の導入量は約570万kW、2014年度には約850万kWと推移しています。これは住宅用に比べ調達期間が20年と長いため、投資目的でメガソーラーなどの需要が増えているからです。(資源エネルギー庁 エネルギー白書2015より)
売電価格の内容
電力会社の売電価格は、一般の電気使用料金に再エネ賦課金を上乗せています。この再エネ賦課金は、FITの買取費用として使用されます。その金額は毎年再生可能エネルギーがどれ位導入されるかを推測して決められ、単価は全国一律になるよう調整されます。
ただし、この再生可能エネルギー賦課金は大量の電力を使用する企業にとって、コスト高を招き国際競争力を低下させるため、国が定める要件に該当すれば8割が減免されます。
出力制御対応機器とは
2015年度の住宅用買取価格は、「出力制御対応機器設置義務」の有無で価格が2円違います。地方の電力会社は、再生可能エネルギーに対する発電容量に余裕がないため、余剰電力が多すぎたとき接続をカットする必要があります。その期間売電が行えないため単価が高くなっています。
ダブル発電とは
ダブル発電とは、太陽光発電とエネファームや蓄電池などを併用するシステムです。このエネファームや蓄電池を併用した場合、余剰電力が増えますが、この増加分は再生可能エネルギーの普及を目的としたものと解釈されないため、買取価格が安く設定されています。
買取価格の推移
余剰電力買取制度が開始した2009年当初、住宅用買取価格は48円でした。2012年にFITに移行したとき42円となっていましたが、2015年現在は27円~33円に下がっています。しかし普及台数が増加したことで太陽電池パネルの価格も下がっています。そして今後も下がることが予想されます。