自然エネルギーの効率とは
一般的に電気エネルギーの変換効率は、入力したエネルギーに対して、どれだけの電力が発生したかという効率です。たとえば太陽電池の場合、太陽光のエネルギーは1kW/m2なので、1m2のパネルで200W発電すれば効率は20%ということになります。
また、タービンを回して発電する装置の場合、タービンを回す機械的な効率と回転運動から電気エネルギーに変換させる電気的な効率を掛けます。特に自然エネルギーで問題となるのは設備利用率で、補助金と同様コストの回収に直接影響を与えます。
太陽光発電の発電効率
一般的な太陽電池のエネルギー変換効率は、シリコン系単結晶タイプの20%が最高です。しかし化合物系のセルを多接合したものは38%のものも開発されています。ただし製作コストが高額なため現在は、人工衛星にしか使用されていません。
この発電は、天候や時間に左右され、日本の設備利用率は12%程です。県別で高いのは山梨県や長野県などの盆地で、低いのは青森県や秋田県の豪雪地帯です。またこの変換効率は、気温が高いと落ちるという特性もあります。
風力発電の発電効率
風力発電は風速が3~5m/s以上になると発電を開始し、定格風速の8~16m/sで定格出力の発電を行います。この発電のエネルギー変換効率は、機械効率(約95%)と発電機の効率(約90%)を加味しても20~40%あり、自然エネルギーの中では比較的効率の良い発電です。
ただし大型の風車を設置するので、自然の景観がそこなわれ、近隣住民に対して騒音や電波障害などの環境問題に発展する恐れがあります。
木質バイオマス発電の発電効率
木質バイオマス発電は、化石火力に比較して燃焼温度が低いため発電効率は20%程度です。この発電は他の自然エネルギーと違い燃料にコストが掛かります。したがって排熱の利用が重要で、コージェネなどを行ってエネルギー効率を上げることが重要です。
地熱発電の発電効率
地熱発電は、地下のマグマで温められた蒸気を利用して発電を行います。自然の蒸気を利用するため蒸気の温度が比較的低く、このため発電効率も10%~20%です。しかし発電の原料となる蒸気は安定して供給されるため、設備利用率は約80%と高くなっています。
既存の温泉施設で需要が増えてきたバイナリー発電ですが、温水の熱量は小さく、また熱媒に熱交換をするため発電効率は5%前後です。
水力発電の発電効率
水力発電は水の落差を利用して発電するシステムです。この発電は、水の位置エネルギーを全て利用でき、エネルギーの損失となるのは水車の機械損失と発電機の損失だけです。このため総合的な発電効率は約80%と自然エネルギーの中では最も高い数値となっています。
しかし、水を貯めるダムは、山奥など自然豊かな場所に建設されるため、環境破壊の原因になります。また長期間雨が降らないと、水の供給が不足して発電をストップしてしまう危険性があります。