海にある自然エネルギー
海の現象である波、潮流、海洋温度差等にはエネルギーがあります。これらの自然エネルギーを電力に変える方法のひとつが潮力発電です。海流発電とも呼ばれ、潮の流れを利用して発電させる方法です。潮流は潮の干満により規則的に生ずるので、その動きの予測は可能です。これが潮力発電の特徴です。この特徴を利用することで潮力の継続的なエネルギー化が可能であり、結果的に得られる電力量も把握できるのです。つまり、安定した供給が見込まれるということになります。
そこで最近では、世界的に再生可能エネルギーとして潮力発電に対する関心が高まっています。潮流のある海域にタービンを置き、潮位差が生む海流の力で回転を起こし発電させるのというが潮力発電の仕組みです。波力発電は、海の力の利用という点では同じですが、波の高低差で生じた空気の圧力を利用する仕組みの部分で潮力発電とは違います。また、波は天候に左右されやすいが、潮流は天候の影響は受けにくく、季節の変化による影響も然り、こうした潮流の継続性という最大の特徴こそが、潮力発電を頼もしい再生可能エネルギーだと称する所以なのです。
潮力発電用人工ラグーン
潮流の特徴を活かし、さらに発電を効率よく実現させる方法として、潮力発電用人工ラグーンの建設が目下、世界の注目を集めています。イギリスにおける開発です。イギリス国内に潮力発電用人工ラグーンを数か所建設することで国内電力量の8%程を供給できるそうです。大規模な潮力発電用人工ラグーン建設により、その海域での海洋生態や海洋事業に影響はないのだろうか、または、地域の海域関係者や住民との交渉に問題はなかったのだろうかなどの懸念はありますが、これらの問題はすべてクリアした結果だと踏まえれば、イギリスのケースは日本の潮力発電開発及び導入実現までの今後のプロセスにおいて大いに参考になる案件がたくさんありそうです。
イギリスの潮力発電事業は日本にとっても頼もしい存在です。イギリス同様、海に囲まれた日本には激しい潮流の海域がいくつかあるものの、思うほどに潮力発電は周知されておらず普及していない状況です。海の力を知る国としてはどこか物足りない感がありますが、やはり導入を阻む日本独自の問題があるのでしょう。実現のためには、世界で潮力発電に先んじている各国の事例を参考にするべきなのはもちろんですが、日本特有の国土や風土、そして地元事業や関係者と共存する潮力発電事業を追求しなくてはならないでしょう。