クリーンと再生可能
日本にとって、過去のオイルショックや昨今の原発停止を背景にエネルギーセキュリティーは避けられない課題だ。そしてこの課題に挑むのが自然エネルギーだ。再生可能エネルギーとして地球温暖化抑止にもなると、現在クローズアップされている。「クリーン」と「再生可能」がキーワードだ。
こうして次代のエネルギーとして着目されるや、多様な企業が自然エネルギー事業に参入した。ところで、日本の全発電量のうち、自然エネルギーはまだ4%程である。その内訳ランキングは1位小水力、2位バイオマス、3位太陽光(環境エネルギー政策研究所)となっている。そして今、3位の太陽光発電において企業の動向がかまびすしい。
自然エネルギー企業
事業を手掛ける大小の企業が全国各地にメガソーラーを建設している。丸紅の「大分ソーラーパワー」、京セラの「鹿児島メガソーラー」、三井化学の「たはらソーラーウインド」、ソフトバンクの「鳥取米子ソーラーパーク」等がメガソーラーベスト10内にランキングアップされる。その他、国内には実に多くのメガソーラーが建設されているが、そもそもどんな場所でもいいわけではない。目的を考えれば必要条件ははっきりしている。何といっても立地が重要条件だ。広大な土地、豊かな日照時間、日照を遮るもの例えば山や森やビルがないところ、陰が生じないところでなければならない。
メガソーラーと自治体
やはり、候補地は県有地あるいは市有地の場合が多く、当然、メガソーラー企業は自治体と連携することになる。自治体側も、当面使用予定が無くあるいは使いようのない遊ばせたままの土地が活かせるなら願ったり叶ったりだ。更には売電収入ある。メガソーラーは自治体内需として喜んで受け入れられただろう。しかし何よりもまして、次世代のエネルギーへの取り組みこそは自治体の課題なのだ。このように全国各地のメガソーラー事業は自治体との連携を必須とする性質を持つ。
さて、メガソーラーの拡充は次世代のエネルギー潤沢に繋がる喜ぶべきことなのだが、現実には思わぬ悩みも生み出しているようだ。メガソーラーは広大な敷地を要するため、建設されてガラリと変わってしまった景観を嘆く地元の住民や観光客からの不満の声が上がっているとも聞く。ましてやそこが収益の大きい観光地のそばであれば景観が損なわれたら客は遠のき観光産業は窄まる。
また、広大な土地だけにそこの生態にも影響が生じないとも限らない。イザコザが多少なりとも起きている。そんな中で、メガソーラー建設に際してはその計画の申請を義務付ける条例を制定した自治体がある。景観への危機をいち早く察したアクションだ。この地方都市のアクションこそ、再生可能エネルギー推進を計るも地域性との折り合いに悩む自治体の姿だ。これは、そこの自然エネルギー事業にも地域性が問われ、自然エネルギー企業には社会性が問われていることでもある。