太陽光発電の経済効果
家庭用太陽光発電の設置コストは2010年までは60万円/kw、発電コストに換算して40円/kwhでしたが、11年に入って急速に下がってきました。これは中国や韓国、インド勢メーカーによる安価な太陽電池パネルが導入されてきたことによります。
たとえばF社などは4kwタイプのもので29万円/kwであり標準家庭用3.3kwの場合設置費用は96万円です。稼働率が10%とすると年間発電量は3500kwhとなり、そのうち40%が自家消費とし60%が買電(調達価格42円/kwh)とすれば、年間収入は12万円となり、8年で元がとれます。
太陽光発電の場合、稼働率が収入に非常に重要な要素となります。日本の平均的な稼働率は12%ですが、地域によってはこの稼働率は10%に落ちます。逆に晴れの多い太平洋側では13%まで高まります。メガソーラー2000kwのケースでみると稼働率が1%違うと初年度の収入は690万円も違ってきます。
風力発電の経済効果
国のロードマップでは、2020年に発電コスト12万円/kwが目標です。実際に国内で条件が良ければ9~13円/kwhに達している施設もあります。また風況のよいアメリカのウィンドファームでは、5円/kwhがすでに実現されています。このように条件次第では非常に有効なエネルギーとなります。
また部品産業への経済効果も大きくなっています。たとえば2MW級の大型風車を500台(1GW)量産するには、ナセル工場で800人、風車メーカーでは約1000人の労働力が必要になります。さらに発電機などを製造する労働力を含めるとその10倍から15倍の雇用が生まれることになります。
バイオマス発電の経済効果
バイオマス発電は、林業の活性化や燃料の運送といった産業に影響を与えるといったメリットがあります。国は2020年までに130億kwhのバイオマス発電の開発を目指していて、これが市場に与える影響は3250億円と見込んでいます。
小水力発電の経済効果
小水力発電は、発電規模が小さい割りに、ゴミの除去や短時間ごとの点検など維持管理に手間がかかり、採算が見込めずに断念する事業者が多いようです。ただし、他の再生可能エネルギーと比較し設備利用率が60%と大きく、導入の仕方によっては有効に活用できるシステムです。
今後の展開
日本における再生可能エネルギーの新規設備容量は、1990年~2000年までの10年間で200万kwでしたが、2000年~2010年までの10年間では750万kwに増えました。これは、技術開発や大型化でコストが下がったこともありますが、ドイツの例でも明らかなように、国の政策が重要なカギを握っています。
国は、2011年の新成長戦略において「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」を推進することにより、2020年までの目標として、「50兆円超の環境関連新規市場」と「140万人の環境分野新規採用」を掲げています。