固定枠制とは
固定枠制(RSP)とは、再生可能エネルギーの普及を目的に、電気事業者に総発電量に対する一定割合の再生可能エネルギーの発電電力を、利用することを義務付けた制度です。
固定枠制のメリット
固定枠制には、再生可能エネルギーの普及目標が予測可能であることや、電気事業者に義務を持たせるため補助金の支給が不要なこと、電気の市場価格が適正に保たれること、市場規模の調節が可能なことなどのメリットがあります。
日本での導入
日本での固定枠制は、2003 年に「電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法」(新エネ利用特措法)として導入されました。対象となる再生可能エネルギーは、太陽光、水力、風力、地熱、バイオマスなどです。
電力事業者は、再生可能エネルギーで発電した電気を供給するか、あるいは他が再生可能エネルギーで発電した電気を買取るかで義務を果たしたことになります。
日本で固定枠制が実施された経緯
2001年に取りまとめられた総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会新市場拡大措置小委員会報告書において、固定価格買取制度(FIT)は「固定価格での買取りが保証されるため、発電事業者側にコスト削減インセンティブが働きにくい。」等とされました。
また、固定枠制については、同報告書において、「現実的な導入可能量を踏まえたクオータ設定が行われる等の結果、(中略)そのことが発電事業者間の競争を促し、コスト削減インセンティブが維持される」等とされています。このような議論を踏まえ、固定枠制が導入された経緯があります。
日本で実施した固定枠制の問題点
再生可能エネルギーの普及を目的に施行された「新エネ利用特措法」ですが、国が思っていた程の効果はありませんでした。その理由の一つは電力を利用する目標値が低かったため、容易に義務が果たせ、それ以上の利用が少なかったことです。
また目標期間が、導入後の事業期間と比較して半分ほどの短期間なため、設備コストの回収に大きなリスクがあったため導入が見送られたこと。既設のバイオマス発電で目標値をほとんどクリアされたため、新規の設備が必要とされなかったことなどです。
世界でRSPを導入している国は
イギリスは中長期的な目標期間を設定して導入リスクを回避しています、 またイタリアやスウェーデンは最低保証価格を設定、さらにイタリアは再生可能エネルギーの系統アクセスを優先させ、事業者に安定をもたらしています。
なぜ固定価格買取制度に移行したのか?
固定価格買取制度(FIT)は、国が決めた金額と期間で、電力事業者に再生可能エネルギーで発電した電気を買取らせる制度です。そしてその買取った金額は需要家全体で補填する仕組みになっています。
このFITのメリットは、小規模での導入が可能で、設備コストの回収が容易であるということです。ドイツは2004年にこの制度を施行し、翌2005年には、太陽光発電の発電量で日本を抜きトップとなりました。それらの経緯から日本も2012年にFITを導入し、同時に固定枠制は廃止されました。