
1800年代後半に発明された水力発電は、日本において1900年代半ばまで電気エネルギーの主役でした。その後1950年代に入り、火力発電が代わって主役の座にすわり、その排気ガスによって地球の自然環境は急速に悪化してきました。
それは地球温暖化という問題に発展し、また原料の化石燃料が枯渇するという事態に陥ってきました。その結果、再生可能エネルギーへの転換が急がれ、水力発電もその一役を担っています。
水力発電の仕組み
水力発電は、水が上から下に流れる力を利用して水車を回し、その回転を発電機に伝えて電気を取り出しています。この発電は水の量が多いほど、また水が落ちてくる高さが高いほど多くの電気が発生します。
水力発電の種類
水力発電の種類は水の利用方法によって、河川をダムなどで堰き止め水を大量に貯める貯水池式、河川の水を池に貯め、需要に合わせ水量を調整しながら発電する調整池式、河川の水を貯めずに流れるまま発電する流れ込み式に分けられます。
特殊な例として、夜間余った電力でポンプを動かし調整池に水をくみ揚げ、昼間の電力需要が多い時間帯に発電をおこなう揚水式があります。この方式はおもに、発電量を変えるのが難しい原子力発電との組み合わせによく使われています。
水力発電のメリット
発電の原料となる水は空から雨で降ってきた水であり、発電をおこなったあとは海に流れ出ていきます。そのあと海で太陽の熱によって蒸発し、再び雨となって地上に降り注ぎます。つまり水は枯渇することのない、再生可能なエネルギーです。
またこの発電は、その発電する過程において、二酸化炭素などの温室効果ガスを、まったく排出しないクリーンなエネルギーです。
さらに火力発電や原子力発電のように蒸気を作り出す必要がなく、水を流すだけで発電出来るため起動が早く、水の量を変えるだけで発電量が変えられるというメリットもあります。
水力発電のデメリット
大型の貯水池式発電所は、ダムの建設によって周囲の自然が破壊されます。またダム建設には多額の費用が必要で、国の予算に多大な影響を与えます。さらに発電所は山間部に建設されることが多く、需要が多い都市部までは遠距離なので、送電設備の費用が高くなります。
また流れ込み式の発電所は、住宅近くの河川を堰き止めるため、台風や集中豪雨によって、近くの住民に水害の不安を与えます。
水力発電の効率
水力発電のエネルギー変換効率は80%程度です。いっぽう火力発電はボイラ効率があるので変換効率は40%前後と低くなってます、このように水力発電は火力発電の約2倍の数字となっており、他の発電と比較しても非常に効率が良い電源といえます。
水力発電の今後
日本は、早くからダムを造り発電を行ってきました。そのため新たにダムを造ることは非常に困難です。しかし世界に目を向けると、ノルウェーやカナダ、ブラジルなど河川の豊かな国は、50%以上を水力発電で賄っており、世界全体のエネルギー供給量はさらに増していくでしょう。