
電池には乾電池のように一回で使い切る一次電池と、充放電を繰り返して長期間使用できる二次電池があります。この二次電池を蓄電池あるいはバッテリーと呼んでいます。この蓄電池は材質の違いによって、鉛電池、ニッケル水素電池、Nas電池、リチウムイオン電池の4種類に分けられます。
鉛電池の特徴
鉛電池は、古くから自動車の蓄電池として使用されてきました。この蓄電池は大容量化することができ安価なため、ビルの非常用蓄電池設備や産業用蓄電池としても使用されています。ただエネルギー密度が低いため形状が大きく、また重量も重くなります。
ニッケル水素電池の特徴
ニッケル水素電池は、過充電や過放電に強くまた大電流の放電にも耐えうる特性があります。ただし寿命が少し短く(5~10年)、また満充電時に大きな発熱を伴うため、電池の温度管理が重要です。この電池は、最近ハイブリッドカーに多く使用されています。
Nas電池の特徴
Nas電池はエネルギー効率が高く、鉛電池と比較してエネルギー密度が三分の一なのでコンパクト化が可能です。そして比較的寿命も長く、材料が資源的に豊富なため安価です。
ただし充放電時の温度管理が必要で、材質が硫黄、ナトリウムなど危険物に指定されている物質なので、保守点検作業が不可欠です。この電池は大規模な電力貯蔵施設や、工場のバックアップ用電源として使用されています。
リチウムイオン電池の特徴
リチウムイオン電池は、最もエネルギー密度が高く、また効率も高いことから携帯電話やノートパソコンなど情報機器のバッテリーとして使用されてきました。ただし材料の安全性確保が必要で、コストも高いためこれまでそれほど普及していませんでした。
ところがキャパシタ電池という技術開発により安全面の確保に目途が付いたことと、電気自動車の要望が高まり生産コストが下がったことで、最近急速に需要が伸びています。
家庭用蓄電システムのメリット
このシステムは割安な夜間電力を使用し、深夜に蓄電池へ電気を蓄えます。そして 昼間などの電力ピーク時に、夜間電力で蓄えた蓄電池からの電気を使用することで、電力会社から購入する日中の電力量を抑制し、契約電力を削減ことができます。
そのほか太陽光発電と併用したシステムもあります。昼間は太陽光発電で作った電気を使いながら、余った電気を蓄電池に充電します。 夜間はその蓄電池の電気を使用し、不足分だけ電力会社から購入します。
この家庭用蓄電システムは、導入時に国から補助金が支払われる制度があります。また初期のコストを抑えた民間のレンタルサービスもあります。
ダブル発電とは
太陽光発電は余った電気だけ電力会社が、調達価格で高く買い取る仕組みになっています。ところが蓄電池が設置されている場合、そちらの電気が優先的に使用されてしまうため、太陽光発電で発電した電気はより多く余るようになります。
つまり安い夜間電力の料金で昼間の電気を使用し、太陽光で発電した電気は高い値段で売るということが可能になります。これはそもそもの売電制度の主旨と反するため、こういった場合は調達価格に差が付けられています。
蓄電池の未来
今後、自然エネルギーを中心に電気を賄っていくためには、電気を上手に受け渡していくスマートグリッドという技術が欠かせません。そのためには、蓄電池が不可欠であり、より安全で効率のよい安価な製品を研究していくことが重要です。