
1997年に京都議定書が採択され、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出削減目標が定められました。それは2012年までに二酸化炭素を含め6種類の温室効果ガスを、1990年を基準として先進国全体で5%削減するというものでした。
ただ、この京都議定書については、世界の人口の約3分の1をかかえる中国とインドが、先進国ではないという理由で規制されて無いことと、アメリカが都市単位でしか参加していないなど問題点も多く、2013年以降のポスト京都議定書については、いまだ定まっていません。
地球温暖化の原因
地球は今まで大気圏に存在する温室効果ガスによって、赤外線エネルギーの需給バランスが保たれ、地球全体の平均気温は安定していました。
ところが産業革命以降、物質文明の発達に伴って温室効果ガスの濃度は、急激に上昇してます。そして宇宙へ放射すべき赤外線エネルギーが減少し、気温が上昇してきています。
地球温暖化の影響
気温が上昇することによって、氷河の氷が溶け海面が上昇しています。このため海抜の低い土地が水没する事態が起きています。また溶けた水で洪水が発生する危険性も増しています。
海水温の上昇はサンゴの死滅という事態も想定され、そのため光合成で二酸化炭素を分解する量が減り、温室効果ガスが増える悪循環も考えられます。
今後の目標
今研究者の間では、2050年までに温室効果ガスの排出量を、およそ半減させるという意見が主流になっています。その根拠は、温室効果ガスの人為排出量が、自然吸収量の約2倍になっているという事実です。
危険な気候変動を避けるためには、二酸化炭素濃度を約500ppmに安定させ、地球の平均気温を今より2℃以上あげないことが要求されます。
しかし、世界各国の利害関係もあり、温室効果ガスの排出量を全体的にどう減らしていくかは大変難しい問題です。それでも未来にわたって人間がこの地球で生活していくためには、環境を守っていくことは避けて通れない問題です。
地球温暖化の解決策
まず重要なのは、エネルギーを化石燃料から再生可能エネルギーに転換していくことです。カナダは約6割を、ブラジルは約8割を、そしてノルウェーはそのほとんどを水力発電でまかなっています。それは地理的要因を上手く使っていることにあります。
またドイツやスペインは約2割を風力、太陽熱、バイオなどの再生可能エネルギーでまかなっています。このように世界各国が再生可能エネルギーを普及していくことが重要です。
さらにエネルギーの需給バランスを調べ、蓄電や蓄熱、揚水を上手に使用すること、コージェネシステムのようにエネルギーを有効利用すること、輸送燃料に電気やバイオエタノールを使うこと、砂漠化した森林を再生させ、光合成を増やし二酸化炭素を減らすことが重要です。
化学の分野においては、温室効果のない自然の冷媒を探し、バイオ資源を研究することが要求されます、そして産業界、学界、需要家が、全体の力を合わせて解決することが重要です。