地熱発電
地熱発電は日本に適していると言われますが、世界全体での状況について紹介します。
世界最初の地熱発電は、1904年にイタリアのラルデレロで天然蒸気を利用した実験運転が行われました。その後、1913年に商業発電が開始され、1942年に総出力120MWに達しました。しかし、第二次世界大戦で焼失してしまいました。戦後あらためて発電所が再建され、2010年時点で、同発電所の発電能力は543MWの電力を供給しています。
世界の地熱発電の状況
日本の地熱発電の総発電量は、2010年段階で約530MWですが、世界全体では約10,000MWと、日本のシェアは約5%です。世界の地熱発電の状況を、主な国別に紹介します。
1)アメリカ合衆国
約9割がカリフォルニア州にありますが、残りは、ネバダ州、ユタ州、ハワイ州でも地熱発電が行われています。エネルギー省によると、西部・南部の州で地熱エネルギー開発を進め、今後、地熱発電所のある州を8州にまで増やす計画をしているようです。
2)フィリピン
アメリカに次いで地熱発電容量が多いのは火山国と言われているフィリピンです。フィリピンは国内総発電量の約4分の1を地熱でまかなっています。
3)インドネシア
インドネシア国内に500-600箇所の火山があり、世界の地熱の4割を有している地熱大国です。インドネシア政府は、化石燃料の枯渇後を見据え、2025年までに約9,500MWの地熱発電を実現し化石燃料を節約するエネルギー安全保障戦略を計画しています。2014年にはスマトラ島北部のサルーラ地区で出力330MWの地熱発電所の建設を開始しました。
4)アイスランド
アイスランドのスヴァルスエインギ地熱発電所では、地熱海水を利用して、世界最大の露天温泉ブルーラグーンが運営されています。アイスランドでは、地熱発電と水力発電だけで電力を賄うことを目指すエネルギー安全保障戦略に取組んでいます。現在、国内の電源はほぼ100%自然エネルギーで、そのうち地熱発電で20%以上を賄っています。
5)ニュージーランド
第二次世界大戦中にイタリア・ラルデレロに駐留していたニュージーランド兵がこの経験を持ち帰り、1956年にニュージーランドのワイラケイで世界最初の熱水卓越型地熱発電所を操業しました。ここで気水分離器の開発に成功したことにより、世界中に地熱発電所ができるきっかけとなりました。ニュージーランドは、国策として原子力発電をしないこととしているため、原子力発電に代わる発電方法として地熱発電を推進しています。
地球中心部の熱源は、プレートの境目付近に多く表出しており、ホットスポットと呼ばれ、地熱発電所の多くは、環太平洋火山帯に位置しています。6位のアイスランドは大西洋上のホットプルームという特殊な地熱資源環境に位置しており、7位のイタリアはアルプス・ヒマラヤ火山帯に属しています。このようにみてくると、地熱発電所は、火山の位置と関係が深いことが分かります。