垂直軸型の特徴・メリット
近年、再生可能エネルギーの普及に伴い、風力発電もまた太陽光発電と共に普及が進んでいる。
風力エネルギーは、自然環境の保全、エネルギーセキュリティの確保可能なエネルギー源として認められ、多くの地に風力発電所や風力発電装置が建設されている。
一般的に認識されているのは風力発電システムの風車は水平軸(プロペラ型)だが、風力発電機には他にも垂直軸型という種類があることをご存知だろうか。
プロペラ型の風力発電機を目にする機会が多い理由は、発電を目的としたとき、最も効率が高いとされているからだ。
風車の性能はパワー係数、周速比、ソリディティなどの特性係数を利用して評価されるが、垂直軸型はプロペラ型と比較して風車の受風面積が少なく、発電性能としては劣る。
プロペラ型は発電機など重量箇所が高所にあるため、設置費用が高く、騒音の問題があるため設置する土地の選定にも配慮する必要がある。
一方で、垂直軸型は発電機などが地表にあり、ローコストで設置でき、騒音も少ないだけでなく、どの方向からの風にも対応できるため、風向の変動や風速の変動が激しい日本の地形に適している。
プロペラ型巨大風車は強い風が必要だが、そのぶん生み出すパワーが大きく、垂直軸型風車は生み出すパワーは小さいが弱い風でもよくまるということだ。
(画像はwikipediaより引用)
FIT向け機器も登場
建設費や保守費用を低価格に抑えることができる垂直軸型、ローコストが故に、その原理を理解すれば自作するも可能だという。
自然エネルギーに関する理工学図書の出版を行うパワー社からは、
「垂直軸風車 さらなる風を求めて 基礎・設計から応用まで」といった書籍もも出版されており、
「自転車発電機(ハブダイナモ)による超小型風車の製作」の中では、自転車発電機を利用したマイクロ風車の制作方法も紹介されている。
なお、垂直軸型の風車には、ダリウス型風車、直線翼垂直軸型風車、サボニウス型風車など複数の種類があるため、自作する際には様々な形状に挑戦し、試行錯誤を楽しむこともできそうだ。
また、風力発電機などのメーカーであるWINPROは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)を活用する発電事業向けの20kW垂直軸型風力発電機を今年10月から発売するなど、市場への普及も進んでいる。
日本は国土の7割程度を山地が占めており、山間部では、絶えず風向が変化している。
プロペラ型の風車では、風向の変化についていけず効率の点でも今後さらに垂直軸型の風車を利用した風力発電機の普及が見込まれる。