水力発電の歴史
明治40年、東京電力の前身である「東京電燈」が、国内初の「水力発電」をスタートして以来、昭和20年代まで日本の発電方式の主流となっていました。
しかし、戦後に急増した電力需要は水力だけではまかないきれず、水力発電所より建設費が安く、比較的建設期間も短い火力発電所が次々に建設されました。
1955年代頃には火力発電が水力発電を上回るようになり、現在では、日本の電力需要の約1割が水力発電となっています。
水力発電の仕組み
水力発電は、水が高いところから低いところへ落ちる時に発生する位置エネルギーを利用して水車を回し、水車と直結した発電機で電気を起こす仕組みになっています。
他の発電方式に比べてCO2の排出量が極めて少なく、エネルギー変換効率が非常に高い点が特徴といえます。例えば、LNG(天然ガス)複合発電では変換効率が約55%なのに対し、水力発電は80%と最も高い値を示しています。
水力発電のメリット
エネルギー資源が少ない日本において、豊富にある水を再生可能なエネルギーとして利用できることが最大のメリットといえるでしょう。
また山や川が多い日本の地形を最大限に活用できるうえ、酸性雨や光化学スモッグ、温室効果ガスを排出しないので地球にも優しい発電方式といえます。
デメリットは?
地球に優しい水力発電ですが、実は発電所やダムを建設するために自然を破壊しなければならないという問題点もあります。
他には、雨が降る量によって発電量が左右したり、山間部などの発電所から都市まで送電線を引くなど、設備に多額の費用がかかる点も挙げられます。
自流式とダム式
発電方式にも様々な種類があり、立地条件や電力需要などにより使い分けています。
出力の小さい発電所では、河川を流れる水を貯めることなく、そのまま発電に使用する自流式が使われます。また河川の流れをせき止めて利用するダム式には、調整池式や貯水池式、揚水式などがあります。
ダムの種類
ダムにもいくつかの種類がありますが、日本を代表するダムの1つである富山県の黒部ダムは「アーチ式コンクリートダム」と呼ばれています。
水圧を両岸の岩盤で支えるように、アーチ型に築いたもので、ダムの厚さが薄くて済むため、コンクリートなどの材料が少なくて済みます。
他には、ダム自体の重みで各種の外力に耐える「重力ダム」があります。滑り出すことや倒れることに対して安全性が高いため、地震の多い日本に適し、日本のダムの約90%はこの形式です。
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