2013年世界の自然エネルギーへの投資額は2,144億ドル。2004年からの9年間で約5倍以上に成長
地球温暖化ガスの排出削減や持続可能な社会の構築が進められるなか、世界のエネルギー情勢は大きく変化しています。なかでも、現在の主なエネルギー源である石油・石炭・天然ガス・原子力などから、太陽が持つ膨大なエネルギーや地球本来が持っている地熱などを利用した自然エネルギーへのシフトが急速に進められています。
2013年における世界の自然エネルギーへの投資額は2,144億ドルに達し、2004年からの9年間で約5倍以上に成長しています。自然エネルギーの一つである太陽光発電は導入量の成長率が平均50%を超え、2013年における世界の新規導入量は3,100万kW、累積導入量は約1億3,000万kW(130GW)に達しています。
2012年後半時点での太陽光発電の国別導入量世界一はドイツで全体の32%を占めています。次いで、2位イタリア(全体比16%)、3位米国(同7.2%)と続きます。
自然エネルギーには太陽光発電の他に、風力・小水力・地熱・バイオマスなど様々な種類がありますが、2011年のデータによると、世界の全消費エネルギーのうち自然エネルギーが占める割合は約19%です。
種類別では熱エネルギーが4.1%、水力発電が約3.7%、その他風力発電・太陽光発電・地熱発電・バイオマス発電・バイオ燃料などが約1.9%を占めています。
日本国内では自然エネルギーの発電量は全体の10%程度を占めているに過ぎませんが、福島第一原発の事故以来、自然エネルギーによる発電の本格的な普及拡大を可能とする固定価格買取制度(FIT制度)をスタートさせるなど、自然エネルギーの普及拡大が推進されています。2013年の速報値では日本の投資額は前年比5割増、世界市場の約14%に成長して、世界で3番目の市場に成長しています。
世界のさまざまな機関が自然エネルギー100%への中長期シナリオを発表
自然エネルギーへのシフトは今後も世界的に進行していくとされており、2011年2月には国際環境NGOであるWWFが自然エネルギー100%の世界シナリオ「エネルギー・レポート~2050年までに自然エネルギー100%:The Energy Report - 100% Renewable Energy by 2050」を発表しました。
この世界シナリオには、2050年までに世界のエネルギー需要を全て自然エネルギーで賄うことが技術的にも経済的にも可能であるとの研究結果が示されています。
他にも、2010年4月に欧州再生可能エネルギー協議会EREC(European Renewable Energy Council)が2050年までに欧州の全エネルギー需要を自然エネルギーで供給することを想定したシナリオ「Re-Thinking 2050」を発表するなど、世界中の様々な機関が自然エネルギー100%への中長期シナリオを発表しています。