様々な自然エネルギー
自然エネルギーは様々な用途で利用される等その形態は多彩である。ここでは、自然エネルギーの用途について以下にその一部を紹介する。
光
①太陽光発電:太陽電池を用いて太陽光を直接的に電力へ変換するものであるが、天候の影響を受けるため、夜間は発電できない。持ち運び可能なものも技術開発されており、僻地や人工衛星等でも使われている。
②太陽熱温水器:黒いパネルで集熱し水を温めるものが実用化されている。エネルギー変換効率が6割程度と高く、比較的安価であることから、温水源として広く普及していおり、一般家庭でも利用されている。
③太陽熱発電:反射板等を用いて太陽光を集光することにより蒸気を発生させ、タービンを回して発電するものである。溶融塩等を用いた蓄熱装置を利用することにより24時間発電可能なものが開発されている。
熱
①地熱:地熱で暖められた温水を直接給湯や暖房、及び調理等に利用したり、地熱で蒸気を発生させタービンを回して発電するものも開発されている。
②雪氷熱利用:冬場に地下施設、コンテナ、及び排雪場に蓄えておき、その雪氷を夏場にマンションや宿泊施設、及びデータセンター等の冷房に利用するものである。
③放射冷却:夜間に地表からの放射冷却する作用を利用して低温環境を作り出し、電力を用いない冷蔵庫が考案されている。
運動(水流・気流)
①マイクロ水力発電:小規模な流水を利用する発電装置であり、装置の大きさが小さく貯水設備が小さいため設備の設置による環境への影響が小さい。高低差の大きい沢以外に、上下水道や用水路等でも設置可能である。
②海流発電:海流を羽に受け原動機を回して発電するものである。設置場所が沿岸や浅い海となる場合は、漁業者との共存が課題となる。
③波力発電:海面の上下動により装置内部に気流を起こしタービンを回し発電するものがある。また、エネルギー変換効率を上げるため内部に抵抗の大きい液体を満たし水流を発生させタービンで発電する方式がある。また、上下動をジャイロで回転運動に変換するものが開発されている。
④潮力発電:潮汐による海水の定期的な移動である潮流を利用して水車を回し発電するものである。河口にダムを設置するものと海水の潮汐流を利用するものが開発されている。
⑤風力発電:風を羽に受け原動機で発電するものである。年間を通じて安定的に吹く風のある地域で有利であるが、バードストライクや低周波騒音といった問題があり、建設には生活環境や生態系への配慮が必要である。
自然エネルギーは、エネルギー源が自然現象を対象としているため、エネルギー源の供給の安定性に課題がある。また、安定的にエネルギー源が得られる場所に制約があるという課題があるが、地球温暖化ガスの排出が少ないことや安全性が高いことから、利用の拡大が期待されている。