近年注目を集める「バイオマス発電」とは
近年、再生可能エネルギー業界においてはバイオマス発電に熱い視線が注がれている。資源エネルギー庁もエネルギーミックスの議論において、バイオマス発電を重要な電源として位置づけた。
「バイオマス」を一言で表すと「化石資源以外の生物に由来したエネルギー源」といったところ。バイオマス発電は、この生物資源を燃料にして発電するのである。
再生可能エネルギーと聞くと太陽光や風、水のようにいつでも無料で手に入るものを利用するようなイメージがあるのだが、バイオマス発電は燃料を燃やして発電。そのため、燃料費がかかり、燃料を継続して確保する必要がある。
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バイオマスの種類
バイオマス発電で電気を作りだす素になるバイオマスは3種類に分類される。
その分類とは、サトウキビ、トウモロコシ、米などの「資源作物」、サトウキビやトウモロコシなどの搾りかす、間伐材などの「未利用なバイオマス」、生ゴミや廃食油、家畜の糞尿などの「廃棄物系バイオマス」の3種類だ。
バイオマス発電に最も多く利用されているのはサトウキビやトウモロコシなどの資源作物。しかし、その作物を作るために森林を切り開いて耕作地にする、食料の値上がりを招くなど様々な問題が起こっている。
注目は「未利用なバイオマス」「廃棄物系バイオマス」
地球上に存在するバイオマスで最も量が多いのは木材。そこで間伐材などの「未利用なバイオマス」が今、注目されている。
欧州では昔から木材を燃料にしており、酸素を制御して完全燃焼させる技術が発達し、木材を燃料としたストーブやボイラーでも燃焼効率は95%以上を誇る。
建築資材や家具などに使用した木材の端材、間伐材などをエネルギーとして活用することができれば、ゴミを減らすことも可能になり、現代の日本においては衰退の一途をたどる森林業を復活させるきっかけになるかもしれない。
しかし、木質バイオマスは注目されているものの調達が難しいとの声もある。間伐材は森を健全な状態に保つために伐採されるもので、流通量は多くないのだ。さらに、日本国内の森林が減っていることもあり、将来は値上がりする可能性も含む。
こうした問題を解決するためには、地域の森林業を製材業がタッグを組んで共にバイオマス発電に取り組むことが最善の方法である。それには経済的なメリットをどれだけ生み出すことができるかがポイントだ。
実は同様の試みが「廃棄物系バイオマス」である家畜の糞尿を使ったバイオマス発電でも既に行われている。自治体と畜産業が共にバイオマス発電に取り組んでおり、売電収入の一部を畜産業に還元することで糞尿の継続的な調達を可能にし、畜産業の新しい収入源確保にもつながっている。