太陽光程度の弱い光でも効率を最大化
九州大学とミラノ・ビコッカ大学の教授などで組織される国際共同研究グループは8月4日、低いエネルギーの光を高いエネルギーの光に変換する技術「フォトン・アップコンバージョン」の実 用化に不可欠な、分子組織体を世界で初めて開発したと発表した。
同グループは溶液中でのアップコンバージョンには成功していたが、今回はより困難な溶媒 を含まない固体中での高効率化に成功。これにより太陽電池や人工光合成の効率が飛躍的に向上し、太陽光発電などの再生可能エネルギー技術への応用が期待される。
「フォトン・アップコンバージョン」とは
太陽光は、エネルギーとして利用できる割合が少なく、太陽光の約半分を占めるといわれるエネルギーの低い部分(近赤外光)は、従来太陽電池として効率よく活用することが難しかった。また水素エネルギーを製造する人工光合成と呼ばれる技術でも同様に、可視光の効率の良い利用が難しかった。
「フォトン・アップコンバージョン」はそういった問題を解消する可能性を持つ技術で、これまで用いられることの少なかった低い光エネルギーから、利用可能な高いエネルギーに変換することを可能とした革新的なエネルギー創生技術である。
産業的に応用可能な 固体中での高効率化を実現
同グループは、既に成功していた溶液中でのアップコンバージョンをさらに進化させ、困難であった溶媒を含まない固体中での高効率化を世界で初めて成功させた。
今回の開発により力学特性に優れた硬いプラスチック中にも分散させて用いることが可能となり 、利用範囲の広いプラスチック材料を高機能化し、再生可能エネルギー分野への応用を促進する新たな道を開拓したといえる。
(画像はプレスリリースより)

九州大学 プレスリリース
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/2015/2015_08_04.pdf九州大学
http://www.kyushu-u.ac.jp/日経プレスリリース
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=392587&lindID=5