信越化学との共同開発
産業技術総合研究所太陽光発電研究センターは、信越化学工業と共同で、信越化学が開発した太陽電池モジュール用のシリコーン封止材を用いた太陽電池モジュールの評価試験を行い、耐久性やPID現象による出力低下を抑制する効果を確認したと発表した。
厳しい環境下での使用に向けた開発
自然エネルギーを利用した発電システムとして注目される太陽光発電システムは、メガソーラーなどの大規模発電や50kW未満の小規模発電、住宅用システムなど、さまざまな規模・形態での購入が拡大している。
近年では、太陽光発電システムを海上や沿岸部などに設置するケースもあり、従来よりも厳しい環境下での信頼性が求められていた。
また、太陽電池セルの発電効率競争に伴って、単結晶n型シリコンセルを用いた高効率太陽電池モジュールに使用する各種材料を開発する必要性が増したため、産総研では、2009年10月に高信頼性太陽電池モジュール開発・評価コンソーシアムを設立し、信越化学などの民間企業と連携して2014年3月まで研究開発を行っていた。
高耐久性とPID耐性を確認
この研究のなかで、信越化学が開発したシート状のシリコーン封止材、太陽電池セルなどの部材はコンソーシアムの標準部材を使用した太陽電池モジュールを作成。
今回、この太陽電池モジュールについて、産総研九州センターに設置した環境試験機や測定装置を使って、高温高湿試験と温度サイクル試験を行った結果、優れた耐久性と信頼性が確認された。
また、シリコーン封止モジュールに対して、高電圧がかかって出力が大幅に低下してしまうPID現象についての評価試験も行ったが、試験の前後で電気特性は変わらず、高いPID耐性を示すことが判明した。
今後は、シリコーン封止材シート量産化の促進、n型シリコン太陽電池モジュールのPID現象発生のメカニズムと、シリコーン封止材による抑制メカニズムなどの解明を行っていく。
(画像はプレスリリースより)

国立研究開発法人 産業技術総合研究所
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