リチウムイオン蓄電池の高容量化実現に繫がる
東京電機大学工学部環境化学科の藪内直明(やぶうち なおあき)准教授らの研究グループは2016年12月24日、リチウムイオン電池用正極材料として、汎用元素で構成された新規岩塩型酸化物の合成に成功したと発表した。
この研究成果は、次世代の高容量リチウムイオン蓄電池の開発に繫がり、電気自動車の走行距離の増加やリチウムイオン蓄電池の新たな市場の開拓などに期待されている。
安価なチタン・マンガン系材料で高エネルギー密度に
現在、電気エネルギーを蓄える蓄電池は、電気自動車用の電源などに利用され、電気自動車の市場も徐々に拡大している。
しかし、電気自動車と内燃機関を利用した自動車との比較をした場合、走行距離が短いなどの課題があり、電気自動車の普及の為には、リチウムイオン蓄電池の高性能化が必要というのが今回の研究の背景になっている。
リチウムイオン蓄電池は、正極材料と負極材料の組み合わせにより電池のエネルギー密度が決まる。負極材料は、シリコン負極などの研究がされているが、正極材料は、大きな課題となっているという。
同研究グループは、これまで、リチウムイオン蓄電池の高容量化の足枷になっている正極材料に着目して研究を行ってきたとしている。
今回の研究成果では、正極材料に安価なチタン・マンガン系材料を用いることで、現在、電気自動車用のリチウムイオン蓄電池で多く用いられているスピネル型リチウムマンガン酸化物やリン酸鉄リチウムを大きく上回るエネルギー密度が得られることがわかったという。
又、酸素の酸化還元反応を用いることで、更なる高エネルギー密度の電極材料の発見に繫がる可能性もあるとしている。
(画像は、東京電機大学ホームページより)

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