分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴム合成に成功
株式会社ブリヂストンは12月13日、独自に開発した新重合触媒を用いることで、分子構造を高度に制御したポリイソプレンゴム(IR)の合成に成功したと発表した。
このIRの特徴は、分子ミクロ構造の規則性が天然ゴムと同様に極めて高い(シス率99.0~99.9%)ほか、天然ゴムや従来IRよりも分子量のばらつきが小さく、これを用いたタイヤ材料の性能評価結果では、天然ゴムを用いたものより耐破壊物性と低燃費性能で優れた性能を示すことが確認できたという。
バイオマス由来のイソプレンを使用することが可能なIR
さらに、今回合成に成功したIRは、原料に再生可能資源であるバイオマス由来のイソプレンを使用することが可能なため、持続可能な素材としての利用が期待されるほか、天然ゴムを上回る性能を持つ次世代ゴムの実現につながる可能性があるとしている。
これまでのIRは、Li(リチウム)、Ti(チタン)、Nd(ネオジム)触媒などを用いて製造されているが、今回開発に成功した新ガドリニウム(Gd)触媒を用いることによりIRの構造制御が常温レベルで可能になったもので、イソプレンをポリイソプレンに変換する能力が従来の600倍と、実用性にも優れるとのこと。
なお天然ゴムは、合成ゴムに比べ強度・摩耗性能や補強材との接着性能が優れるタイヤの重要な原材料となり、今後も需要拡大とともに天然ゴム消費量も増えると見込まれているが、安定供給上の問題もあるため、性能向上を含めて代替ゴムの合成研究を進めてきたという。
同社では、この合成IRについて、2020年代の実用化を目指すとしている。
(画像はプレスリリースより)

株式会社ブリヂストン プレスリリース
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