太陽光エネルギーだけで炭化水素などの資源変換に成功
昭和シェル石油株式会社は12月5日、太陽光エネルギーで水と二酸化炭素から有用物質を直接合成する研究開発過程で、ガス拡散電極を用い、常温常圧下において太陽光エネルギーだけで炭化水素などの有用な資源へ変換することに世界で初めて成功したと発表した。
今後は、ガス拡散電極を用いた人工光合成の研究を進め、2030年までに二酸化炭素から高効率で炭化水素やアルコール等の有用物質を製造する技術を確立することで、二酸化炭素の再利用による持続可能な社会の実現を目指すとのこと。
炭化水素への太陽光エネルギー変換効率は0.71%
これまで多くの研究機関では、二酸化炭素を一度水に溶かした状態で変換する方式を採用していて、原料の二酸化炭素が少量しか水に溶けないことから、変換が難しいという課題があった。
今回、独自開発の触媒を使った「ガス拡散電極」を二酸化炭素が反応する電極に用い、「光陽極」に半導体光触媒とソーラーフロンティア株式会社製CIS薄膜太陽電池との積層構造を利用した電極を用いて、気体の二酸化炭素を直接反応させることに成功したもの。
疑似太陽光照射下にて、メタンを太陽光エネルギー変換効0.61%、エチレンを同0.1%で合成することに成功、炭化水素への太陽光エネルギー変換効率は0.71%となり、自然界の植物の光合成と同レベルという。
この結果、二酸化炭素を気体のまま利用できるため、実用化に向けた大きな一歩になるとしている。
(画像はプレスリリースより)

昭和シェル石油株式会社 プレスリリース
http://www.showa-shell.co.jp/press_release/pr2016/