リチウムイオン電池の寿命を従来品比12倍以上に向上
株式会社安永は11月22日、リチウムイオン電池の正極極板製造に関する新技術開発を行い、電池寿命を従来品より12倍以上に向上させた、と発表した。
活物質と集電体の剥離を大幅に抑制
リチウムイオン電池を製造する場合、従来品は、セル製作時に加わる曲げ応力や、充放電による活物質等の膨張や収縮のため、活物質と集電体に剥離が起こり、電池寿命が短くなっていた。
これを解決するため、安永は、「微細金型形成技術」を用いて集電体を特殊加工し、「電極表面の規則正しい幾何学模様の微細溝」を創ることにより、電極の表面積を拡大し、活物質層に対してアンカー効果を生じさせて、活物質と集電体の結着性を上げることに成功した。
また、特殊加工で生じた集電体の貫通穴は、活物質の循環による剥離耐性の向上と電解液が一様に分布する、という相乗効果が生まれ、さらに寿命を向上させることにつながった。
活物質と集電体の結着性向上効果により、界面抵抗が減少し、高速充放電性能が向上した。
試作したセルに充放電の耐久性試験を行った。3,000サイクルまでの結果を元に寿命予測線を評価した。初期容量から70%に減る時点までを寿命とした場合、寿命予測値は従来品5,000サイクルに対して、60,000サイクル以上の結果だった。寿命が、12倍以上向上したことになる。
長寿命・高速充放電リチウムイオン電池の用途は広がる
新開発の長寿命リチウムイオン電池は、長期メンテナンスフリー機器への適用、ランニングコストの低減、交換困難な場所への搭載など、環境負荷の低減やエネルギーコストの削減に貢献できる。
また、高速充放電性能は、EVの稼働率向上、高出力機器の小型化、モバイル機器への高出力機能向上など、スマート社会に寄与する。
(画像はプレスリリースより)

株式会社安永のニュースリリース
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