燃料電池自動車や家庭用定置型電源などへの展開も
石川県能美市の北陸先端科学技術大学院大学は11月15日、同大学と田中貴金属工業の共同研究グループが、少量の白金で酸素還元反応性が高い触媒の開発に成功したと発表した。
これにより、燃料電池やリチウム・空気電池などが低コストで開発されるとみられ、燃料電池自動車や家庭用定置型電源などへの展開が期待されている。
燃料電池に使用される電極材料の作製は、現段階では試薬や界面活性剤を使用したり、高温反応条件を適用したりするなど、環境負荷の大きい手法が一般的となっている。
また、商用系の電極材料には相当量の白金が使用されているが、白金は希少価値が高いことから、少ない使用量での電極作成が研究されてきた。
白金の量を抑えても、十分な触媒活性を示す
今回の研究においては、商用の酸素還元反応性触媒と比較すると、炭素材料に化学反応で付着させる白金の量を1/15から1/20程度に抑えたが、単位面積あたりの酸素還元電流密度を調査した結果、商用系を上回る電気化学触媒活性を示した。
また、商用系では、電極の作製にアルコールを使用しているが、新たに開発された方法では水を使用することから、常温でしかも短時間での反応によって作製が可能となった。
同大学は今回の研究結果について、最先端のエネルギーを低コストで運用可能になることから、特筆に値する内容であるとしている。
(画像はプレスリリースより)

北陸先端科学技術大学院大学(プレスリリース)
http://www.jaist.ac.jp/whatsnew/press/2016/11/15-1.html