再生可能エネルギーの電力により水素を製造し、貯蔵及び利用するP2Gシステム
2016年11月4日、山梨県、東レ株式会社(以下、東レ)、東京電力ホールディングス株式会社(以下、東京電力HD)及び株式会社東光高岳(以下、東光高岳)は、相互に連携し、CO2フリーの水素エネルギー社会実現に向けたP2G(Power to Gas)システムの技術開発及び実証研究を推進するため、協定を締結した。
再生可能エネルギー由来の水素は、製造段階からCO2が発生しないことから、環境負荷の低減に大きな効果が見込まれている。このため、再生可能エネルギーの電力により水素を製造し、貯蔵及び利用するP2Gシステムは、長期間の貯蔵や輸送が可能な水素の特性を活かし、天候の変化によって変動する再生可能エネルギーの発電量の安定化に資する技術の一つとして期待されている。
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業
山梨県、東レ、東京電力HD及び東光高岳の4者は、山梨県甲府市内の米倉山(こめくらやま)において、太陽光発電による電力により、年間45万Nm3(計画値)の水素を製造、貯蔵及び利用するP2Gシステムの確立を目指して、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業に共同で申請し、平成28年9月27日に採択を受け、将来の可能性や技術課題の明確化等を含めた基礎的な検討に着手した。
当該委託事業では、平成29年6月頃に予定されているステージゲート審査を通じて技術開発フェーズへの移行が判断されることになっており、この結果を踏まえ、平成32年度末まで、技術開発及び実証研究を行っていく計画である。
山梨県、東レ、東京電力HD及び東光高岳は、再生可能エネルギーの利用拡大を見据え、長期間の貯蔵や輸送が可能な水素を活用してその課題を解決するとともに、CO2フリーの水素エネルギー社会実現に向け、P2Gシステムの基盤的技術の確立を目指し、連携して同事業に取り組む。
委託事業に参画する4者の取り組み
山梨県は、電力系統安定化対策として電力貯蔵技術の開発を推進することで再生可能エネルギーの導入を促進し、併せて県内に技術開発及び実証研究の拠点を整備することにより、関連産業の振興を図り、CO2フリーの水素の利活用推進及び県内産業の活性化を目指す。
東レは、現在進めている「中期経営課題“プロジェクト AP-G2016”」において、全社横断的な取組の一つとして「グリーンイノベーション事業拡大(GR)プロジェクト」を掲げ、地球環境問題や資源・エネルギー問題の解決を通じて社会に貢献することを目指す。
東京電力HDは、電力システム改革によって事業体制の変革が求められる中、これまで国内外で培ったエネルギーの効率利用、再生可能エネルギーに係る技術・ノウハウを活用するとともに、イノベーションを引き起こす新たな技術に挑戦することにより、エネルギーの最適サービスを通じて、化石燃料の使用量やCO2排出量の削減に貢献することを目指す。
東光高岳は、電力自由化や急激な再生可能エネルギーの普及など電力システム改革が進展する中、未来のスマートグリッド社会の構築に貢献すべく、電力ネットワークをトータルサポートできる企業を目指す。
(画像はプレスリリースより)

東レ プレスリリース
http://www.toray.co.jp/東京電力HD プレスリリース
http://www.tepco.co.jp/press/release/2016/1334803_8626.html東光高岳 ニュース
http://www.tktk.co.jp/uploads/nr20161104.pdf