風力・太陽光発電との連系が容易
三菱電機株式会社は、10月12日のプレスリリースで、自励式直流送電システム事業に参入することを発表した。
直流送電は、交流送電より送電効率が高く、また洋上風力発電や太陽光発電などとの連系が容易なことから、再生可能エネルギーの利用拡大に貢献することができる。
また、直流送電システムには、交流・直流間の変換のために、交流系統内において変換器容量に見合った発電機が必要な「他励式」と、発電機が不要な「自励式」があり、接続する系統条件に制約の少ない自励式直流送電システムの需要が今後は増えると予想されている。
そこで、三菱電機では、多様化する電力系統の市場ニーズにグローバルに対応するため、今回、自励式直流送電システム事業に参入し、製品検証を行う「HVDC検証棟」を建設することにしたものである。
「HVDC検証棟」は、兵庫県尼崎市に建設され、検証設備の容量は50メガワット。その他、変換装置、制御保護装置、受電設備などが設置される。稼働開始は、2018年上期の予定。
高い信頼性と低コスト
同社では、自励式直流送電システムのトータルブランドを「HVDC-Diamond」とした。
その特長は、まず、高速制御と保護システムにより高い信頼性を実現したことが挙げられる。これは、個々のシステム要件に最適な制御機能とハードウェア構成の採用によって、運用時には安定運転が得られ、また、高速応答の保護機能搭載により、直流事故発生時に過電流による設備機器の損傷を防止するというものだ。
そして、交流送電系統に落雷などの事故が発生した場合にも、自励式直流送電システムは運転継続が可能である。
さらなる特長としては、省スペース、低コストで、幅広い送電容量帯対応を実現したことである。
これは、高耐圧・大電流パワー半導体モジュール(以下、HVIGBT)の採用により、変換装置のモジュール数が削減されたことから、電力変換所の小型化と低コスト化が可能となったこと、また、HVIGBTを2列の並列構成としたうえで、モジュール数を柔軟に構成することで、幅広い送電容量帯に適応することを実現している。
(画像はプレスリリースより)

三菱電機株式会社
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