水素の製造が可能な下水汚泥消化ガス
トヨタグループの総合商社、豊田通商は8月19日、福岡市、九州大学、三菱化工機との共同による「下水汚泥消化ガスからの水素ステーション開発」(以下、同事業)が、内閣府の「第14回産学官連携功労者表彰」の国土交通大臣賞を受賞したと発表した。
下水汚泥を処理する過程においては、下水汚泥消化ガスが発生するが、このガスは、熱利用、発電等に使用されている。
しかしながら、下水汚泥消化ガスの約3割が未利用の状況となっている。また、以前から未利用のガスを利用した水素の製造が検討されてきたが、技術的な問題から見送られてきた。
この課題を解決するため、産学官が連携し、下水道施設に水素製造プラントを商用規模で整備する技術が確立された。
産学官連携で、研究・技術開発・商用化が可能に
同技術の確立においては、「水素リーダー都市プロジェクト」を推進する福岡市が同事業のプロジェクトのけん引役となった。
三菱化工機が水素製造・二酸化炭素分離技術を提供、九州大学が消化ガスに含まれる微量成分と、消化ガスが水素製造の触媒に与える悪影響を研究、豊田通商が水素ステーションの経営ノウハウを提供し、事業採算性を評価することで、基礎研究、技術開発、商用化と、一連の連携体制が構築された。
これにより、世界初となる商用規模の下水汚泥消化ガス水素ステーションが実現したほか、同事業による技術を活用することで、全国で年間約260万台の燃料電池自動車に水素供給が可能になるとしている。
豊田通商は、水素社会の実現に向け、水素エネルギーが次世代エネルギーとして活用されるために、水素の環境整備を進めていきたいとしている。
なお、授賞式は、8月26日の午後1時30分より、東京ビッグサイトにて開催される。

豊田通商(プレスリリース)
http://www.toyota-tsusho.com/press/内閣府 第14回産学官連携功労者表彰 国土交通大臣賞
http://www8.cao.go.jp/cstp/sangakukan/