コスト低減に向けた技術の調査
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、洋上風力発電システムにおける低コスト化の調査研究を行う事業者を公募している。
再生可能エネルギーの導入を最大限加速させるというニーズのもと、洋上風力発電についても様々な実証研究が行われてきたが、これまでの技術プッシュ型のR&Dから、発電事業者が主導する市場プル型のR&Dによる段階的な改善に着目し、安全性・信頼性・経済性を評価しつつ、洋上風力発電コスト低減の手法を策定する必要がある。
そこで、洋上風力発電システムの低コスト化を目指した技術革新ニーズをピックアップし、どの先進的な技術が我が国の洋上風力発電市場の低コスト化に資するかを特定することを目的とし、発電コストを構成する、資本費(CAPEX)、運営費(OPEX)を対象として、低コスト化技術の調査研究を実施し、コスト低減の評価を行うもの。
具体的には、我が国の海底地形・地盤に適した基礎構造(タワー)、洋上での工期を短縮できる洋上施工技術や撤去工法、効率的な洋上風況・海底地盤調査技術等について、風力発電事業者、EPCなどが共同で検討を行っていく。
超大型風力発電システムや高効率風車の開発など
我が国では、平成26年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」で、再生可能エネルギーの導入を最大限加速させるとともに、系統強化、規制の合理化、低コスト化等の研究開発を着実に進めることについて言及され、その中で、洋上風力発電の実証研究の推進及び固定価格買取制度の検討、技術開発や安全性・信頼性・経済性の評価、環境アセスメント手法の確立を行うことも盛り込まれている。
これに対しNEDOでは、研究開発項目として「洋上風力発電等技術研究開発」や「風力発電高度実用化研究開発」を挙げ、実証研究を行ってきた。
「洋上風力発電等技術研究開発」では、これまで、革新的な超大型風力発電システムの技術を確立したり、実海域で風況実測を行い、洋上風況観測システムの技術を確立したりするなどの実績がある。
また、「風力発電高度実用化研究開発」では、10メガワット以上の超大型風車のシステム等に係る課題を抽出し、実現可能性を評価するなど、風車部品高度実用化に向けて、プロトタイプ機における開発を完了し、風車の総合効率を20%以上向上、さらに小形風車の標準化においては要素部品の仕様を決定し、コストを30%以上削減したという実績を挙げている。
(画像は国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構より)

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
http://www.nedo.go.jp/koubo/FF2_100190.html