リチウムイオン電池の15倍!電気自動車でガソリン車並みの走行距離実現へ前進
2017年4月5日、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 物質・材料研究機構は、リチウム空気電池の空気極材料にカーボンナノチューブ(以下、CNT)を採用することにより、従来のリチウムイオン電池の15倍に相当する極めて高い蓄電容量のリチウム空気電池を実現したと発表した。
リチウム空気電池はあらゆる二次電池の中で最高の理論エネルギー密度を有する「究極の二次電池」であり、蓄電容量の劇的な向上と大幅なコストダウンが期待されるが、これまでは少量の材料で電池反応を調べる基礎研究が中心で、実際のセル形状において巨大容量を実証した例はなかった。
このたび、JSTのエネルギー・環境材料研究拠点 ナノ材料科学環境拠点 リチウム空気電池特別推進チームは、現実的なセル形状において、単位面積当たりの蓄電容量として30mAh/平方センチメートルという極めて高い値を実現した。
研究の概要
リチウム空気電池の構成は、正極(空気極)、セパレータ、負極(リチウム金属)を重ねて電解液を入れただけの簡単なものだ。
しかし、過酸化リチウムは絶縁体であるため、極薄くしか析出できずに、蓄電容量を制限し、現実のセルで大きな蓄電容量を得ることは容易ではないと考えられてきた。
今回、空気極材料として不織布状のCNTシートを用いたところ、過酸化リチウムの析出は制限されることなく、CNTシートを押し広げて大量に析出し続けることが判明した。
この現象を利用することにより、現実的なセル形状において、単位面積当たりの蓄電容量として極めて高い値を実現した。
(画像はプレスリリースより)

JST プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20170405-2/index.html