システムの構築と新たなビジネスモデル確立を目指す
2017年3月21日、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、ドイツのニーダーザクセン州(以下、同州)経済・労働・交通省、EWE-VerbandおよびEEW Holdingと、「大規模ハイブリッド蓄電池システム実証事業」(以下、同実証事業)を実施することで合意し、3月19日に基本協定書(MOU)を締結したと発表した。
EWE-Verbandは、同州内の17郡4市が100%出資して設立した電力供給の管理組織で、EEW Holdingは、EWE-Verbandが100%出資している有限会社。
また、同時に、NEDOの委託先である日立化成株式会社、株式会社日立パワーソリューションズおよび日本ガイシ株式会社と、ドイツの地域電力会社EWE AGは、同実証事業を共同で実施することで合意し、協定付属書(ID)を締結した。
ドイツ北西部に位置する同州は、ドイツでも風力発電量が最も多い地域であるが、再生可能エネルギーの利用増大に伴い、電力品質を維持してきた火力発電などが使われなくなってきているため、需要量と供給量の差の増大や局所的な系統電圧の不安定が問題になっている。
このような問題を解決するために、NEDOと同州経済・労働・交通省は、同実証事業開始に向けた調整を行ってきた。
同実証事業の期間は2017年4月から2020年3月までの3年間で、予算総額は約28.8億円だ。
実証事業の内容
高出力で充放電が可能なリチウムイオン電池および長時間の充放電が可能な大容量NAS電池と、EWE AGの電力取引システムを連携し、電力系統の安定化に寄与できる大規模ハイブリッド蓄電池システムを構築する。
同システムにより、需給状況に応じて需給調整電力を自動応答で発動する「Primary Control Reserve」、需給状況に応じて送電事業者の指示で発動する「Secondary Control Reserve」、電力グループ内で需要量と供給量の差を低減する「バランシング」、ローカルな電圧安定化に寄与する「無効電力供給」の機能を実現し、EWE AGグループの電力取引システムにより電力取引を行う。
また、同実証事業を通じて、発電事業者や電力取引事業者に、大規模ハイブリッド蓄電池システムを販売するビジネスモデルを確立する。
(画像はプレスリリースより)

NEDO ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100738.html