有機ハイドライド型水素ステーションのコスト低減に貢献
2019年3月9日、NOK株式会社と国立研究開発法人 産業技術総合研究所は、有機ハイドライドから燃料電池自動車(以下、FCV)用超高純度水素を分離精製する新規分離技術として、高性能炭素膜に関する共同研究を実施し、非常に優れた水素選択性を有する炭素膜の開発および大型モジュール化に成功したと発表した。
同開発成果は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「エネルギーキャリア」事業における、委託研究課題「有機ハイドライドを用いた水素供給技術の開発」によって実施された。
研究の概要
FCV用水素にかかるコストの低減に向けた水素供給技術として、FCV用水素規格を満足する超高純度水素を精製する技術の開発が必要となっていた。
同研究では、新規分離技術として無機膜の一種である炭素膜を採用し、一度の分離でFCV用水素規格を達成できる、非常に高い水素選択性のある炭素膜の開発に成功した。
同高性能炭素膜は、水素だけが選択的に透過できる均質な細孔を有しており、有機ハイドライド型水素ステーションでの運用条件として想定する90℃での水素/トルエン混合ガス供給時においても優れた選択性を維持し、500時間以上にわたる安定した分離性能を確認している。
また、膜分離システム計算の結果、大幅な省エネ化が実現できる見通しで、膜コストが安くコンパクトな精製装置の実現が可能だ。
さらに、同炭素膜の大型モジュール化を実施した。同大型モジュールは、非常に優れた水素分離性能でスケールアップしても欠陥を生じず、実運転条件による水素/トルエン分離試験で、FCV用水素規格を満足する高純度水素を安定的に製造できることを確認した。
(画像はプレスリリースより)

産総研 ニュース
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