アメリカにおける炭素繊維製造の拠点
三菱レイヨン株式会社は、風力発電機のブレード向けの炭素繊維である「ラージトウ」を扱う SGL Carbon Fibers LLC(以下、SCF社)を買収することを発表した。
三菱レイヨンの100%子会社であるMitsubishi Rayon Carbon Fiber and Composites(以下、MRCFAC社)が、ドイツ SGL社グループで、SCF社の親会社であるSGL Technologies North America 社から同社の全持ち分を取得し、2017年4月初旬までに子会社化する予定。
伸長する高機能ラージトウの需要に対応
炭素繊維を数千~数万の単位で束ねたものを「トウ」というが、三菱レイヨンは、航空機や圧縮ガスタンク用に使用されるレギュラートウ並みの物性と品質を持ちながら、大型部品成形時に高い生産性を実現する「高機能ラージトウ」という独自の炭素繊維を開発し、その用途開拓を進めてきた。
ラージトウは特に風力発電機のブレード向けに需要が伸長しており、同社はブレード向け炭素繊維複合材料積層板の製造・販売を行う合弁会社を2016年10月に欧州に設立するなど事業展開を強化している。また、自動車の軽量化材料としても、高機能ラージトウを用いた各種中間材料の需要が増加している状態だ。
今回の買収は、このようなラージトウの需要伸長に対応するためのものであり、これにより同社の炭素繊維製造能力は1,000トン以上増加する予定。
近々稼働するMRCFAC社のアメリカ・サクラメントのレギュラートウ炭素繊維工場の能力増強と、2017年に予定する大竹事業所の能力増強を合わせ、同社の炭素繊維年間生産能力は、現在の10,100トンから2017年には14,300トン以上まで拡大することが期待されている。
(画像は三菱レイヨンより)

三菱レイヨン株式会社
https://www.mrc.co.jp/press/detail/pdf/20170110102828.pdf