水素が透過する支持体に多孔質金属材料を使用
横浜市に本社を置き、貴金属表面処理加工を主力とする株式会社山王は1月12日、東京工業大学と共同で研究・開発を行った発明「金属複合水素透過膜とその製造方法」(以下、同技術)について、2件の特許を取得したと発表した。
同技術は現在研究・開発中の「金属複合水素透過膜」を製造するための基本技術となる。
現状、水素のみ透過する貴金属透過膜の支持体には、多孔質セラミックスが多く使用されているが、水素が支持体を透過する際に割れてしまう点が問題となっている。その問題を解決するため、多孔質セラミックスの代わりに多孔質金属材料を用いることとした。
新技術の活用で、水素社会実現に大きな期待
多孔質金属材料を用いることで、透過膜の厚さを10マイクロメートル(1マイクロメートルは、1mmの1000分の1)とした。これにより、水素の透過性が向上するほか、高温下においても材質がしなやかさを維持する利点がある。
また、金属複合水素透過膜は、従来の貴金属透過膜と比較すると、貴金属の使用量が大幅に減少する上に、材質の耐久性も向上する。
この技術を活用することで、水素製造や水素精製の効率化が見込まれることから、水素社会の実現に大きく貢献すると期待されている。
(画像は株式会社山王より)

株式会社山王(プレスリリース)
http://pdf.irpocket.com/C3441/DZbR/hXH8/OZK1.pdf国立研究開発法人 産業技術総合研究所
金属複合水素透過膜の開発
http://www.fukushima.aist.go.jp/