バイオマス全体として高い利用効率を実現
株式会社日本触媒は、神戸大学大学院工学研究科サスティナブルケミストリー寄附講座と共同で、バイオマスの新規資源化プロセスを開発したことを発表した。
今回開発したプロセスでは、木材や農業残渣にも多く含まれていて、セルロース・ヘミセルロース・リグニンが強固に結合した構造をもつバイオマスであるリグノセルロースを、250度から300度の高温水中の金属鉄共存下において、炭素数2-6程度の水溶性化合物群に分解する方法で、従来方法と比較して、水溶性分解物を60wt%程度の高い収率で得ることを実現している。
また、得られた水溶性化合物群は、ZSM-5などの固体酸触媒を用いて、エチレン・プロピレン・ブチレンなどのオレフィン系炭化水素や、ベンゼン・トルエン・キシレンなどの芳香族炭化水素に変換できることも確認されており、種々のグリーンケミカルズの基礎原料として有望とみられている。
このプロセスでは、枯渇が懸念される化石資源に依存することなく、バイオマスという再生可能な炭素資源から、化学品原料を変換できるものであり、日本触媒では、持続可能な化学産業を切り拓く技術として、今後も研究開発を推進していく。
持続可能な化学産業を研究開発
今回共同研究を行ったサスティナブルケミストリー寄附講座は、2012年7月に、日本触媒により、神戸大学大学院工学研究科応用化学専攻に設立されたもの。
講座では、サスティナブルケミストリーによる産業創出を目指し、再生可能資源バイオマスの利活用技術、再生可能エネルギー生産技術、温室効果ガスである二酸化炭素の再資源化技術等に関する革新的技術の実践的な研究を行うとともに、新産業創出を担うイノベーション創出型の人材育成も行うことを目的としている。
日本触媒は、「私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」との企業理念の下、2025年のビジョンとして、「革新的な技術で新しい価値を提供する化学会社」を目指してきた。
この寄附講座で得られた成果を元に、産学官連携によるサスティナブルケミストリーの実用化に繋げ、持続可能な社会と持続可能な経済発展の実現に努めていく意向を示している。
(画像はプレスリリースより)

株式会社日本触媒
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