世界初・5kW級の小出力で発電効率65%相当を実証
2017年5月23日、東京ガス株式会社は、高い発電効率を特徴とする固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、以下、SOFC)の発電効率をさらに向上させる技術を開発し、5kW級の出力規模のホットボックスにおいてDC端発電効率73%LHV(以下、同DC端発電効率)を実証したと発表した。
同DC端発電効率は、顧客が利用できる交流送電端ベースのAC発電効率65%LHVに相当し、5kW級の出力規模としては世界で初めての高効率だ。
なお、SOFCは、イオンが伝導可能なセラミックスを用いた600~900度の高温で作動する燃料電池で、ホットボックスとは、SOFCスタックや気化器・改質器・熱交換器等の高温で動作する主要部品を断熱材で覆った構成の呼称。
また、DC端発電効率とは、ホットボックス単体で発電した直流ベースの発電効率で、LHV(Lower Heating Value)とは、燃料の燃焼熱に水分の凝縮熱を含めない場合の効率値。
SOFCの高効率化技術の概要
このたび開発したSOFCの高効率化技術は、SOFCスタックを二段化し、一段目SOFCスタックの発電後のガスを、小さな二段目SOFCスタックの発電に再利用することで、発電効率を向上させた。同時に、各段では30%の燃料を残すことで、劣化するリスクを低減した。
また、発電後のガスからH2OやCO2を除去してH2とCOの濃度を高める「燃料再生」を行うことで、二段目のSOFCスタックでも一段目と同程度の濃度の燃料ガスを発電に利用して、発電効率を向上した。
さらに、SOFCの高効率発電時でも、発電に伴うSOFCスタックの発熱と未利用の燃料ガスの燃焼熱により、必要な高温を維持する「熱自立」ができるようにした。
(画像はプレスリリースより)

東京ガス プレスリリース
http://www.tokyo-gas.co.jp/Press/20170523-01.html