1メガワットの発電システムで運用実証
住友電気工業株式会社は、モロッコ王国太陽エネルギー庁と、「1MW集光型太陽光発電(以下、CPV)プロジェクト」に関する実証契約を締結したことを発表した。
これは、2016年5月4日~5日に開催された第4回日本・アラブ経済フォーラムにおいて、住友電気工業と、モロッコの再生可能エネルギー導入の主導機関であるMASENが、同社が開発したCPVを用いた初のメガワット級発電プラントを共同で建設、運用実証を行っていくことで合意し、契約を締結したもの。
モロッコの豊富な太陽光エネルギーを最大活用
アフリカ大陸北西部に立地し南部をサハラ砂漠に面しているモロッコは、高い日射量を有しており、自国内での電力自給率向上のためにこの豊富な太陽エネルギー資源を有効活用する方針を示している。
具体的には、2020年までに2000メガワット、2030年までに4500メガワットの太陽エネルギー発電設備を導入するという数値目標が掲げられている。
こうしたモロッコの状況に対し、住友電気工業では、既に2013年4月より、モロッコのカサブランカ郊外にある同社グループ会社敷地内において、実証実験を開始しており、2015年9月からは、ワルザザートのMASENの研究施設敷地内に、20キロワットのCPVシステムを設置し、実証実験を行っている。
今回のプロジェクトにより、1メガワットの発電プラントを建設して、2016年11月から2021年5月までの5年間、総発電量の計測や品質分析を行い、気象や砂塵状況に左右されない安定した発電を目指していく。
軽量薄型で高い変換効率のCPV
住友電気工業が開発したCPVは、高い変換効率を持つ化合物半導体の発電素子を使用して、太陽を正確に追尾しながらレンズで直達日射光を集めて発電する仕組み。
発電素子の温度依存性がほとんどないことから、直達日射量が多く気温が高い地域で有効であり、モロッコの自然環境に適する発電システムといえる。
また、厚み約120mm、重量約8kgという薄型で軽量なモジュールは、そのコンパクト性により輸送時や架台に多く搭載できること、また設置作業効率の向上などのメリットがあり、発電システムのトータルコスト低減に貢献できると考えられている。

住友電気工業株式会社 プレスリリース
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