薄型軽量で高い安全性
積水化学工業株式会社は、同社の高機能プラスチックスカンパニーが、奈良先端大学の開発による「カーボンナノチューブ熱電変換材料(以下、CNT熱電材料)」を使用した「カーボンナノチューブ温度差発電シート」を試作し、実用化に向けた実証実験を開始したことを発表した。
今般、奈良先端大から発表された技術は、熱電変換性能と耐久性に優れたn型半導体性CNTを実現しており、CNT温度差発電シートの実用化を大きく前進させるものである。
さらに、積水化学工業が有するナノ材料分散技術、化学修飾技術、成膜技術などの技術を活かして、発電シートとしての実証実験可能なサイズのCNT不織布の製作に成功した。
試作されたCNT温度差発電シートの特徴は、まず薄型で軽量なのでフレキシブル性があること、そして、低温度領域で発電が可能であること、鉛やテルル等の毒性物質を全く使用してないことが挙げられる。
立ち入りしにくい場所などに設置
このCNT温度差発電シートは、現在のところ、生活環境等の身近な温度領域での発電が可能で、温度差を利用した、ワイヤレスセンサー向けのエネルギーハーベスティングへの利用が考えられている。特に、乾電池やPVでは対応困難な「高温多湿な環境下で定期的な交換・診断が難しく、かつ昼夜問わず常時監視の必要な設備のセンサー用電源」の用途を想定している。
具体的には、ビルや大型商業施設の地下施設、空調配管、エレベーターシャフト、工場や大型倉庫、コンテナや船舶などの輸送機器などにおいて使用するものである。
積水化学工業は、2018年度の製品化に向けて、サプライチェーンの各段階における、電子部品メーカーやユニットメーカー、センシング機器メーカーなど、パートナーの探索を勧めていく意向だ。
(画像はプレスリリースより)

積水化学工業株式会社 プレスリリース
http://www.sekisui.co.jp