高エネルギー密度のリザーバ型蓄電池基礎技術を構築
京都大学と産業技術総合研究所などの研究グループ(NEDOプロジェクト)は3月29日、Liイオン電池(LIB)の性能限界をはるかに超える新しいコンセプトの蓄電池であるリザーバ型蓄電池の基礎技術構築に向け、大きく前進したと発表した。
これは、従来不活性とされてきた電池系にて充放電特性の向上等に成功、エネルギー密度500Wh/kgを見通す高エネルギー密度の蓄電池構築が可能であることを示したもの。
従来のLiイオン電池は、イオンを収納するホスト材料は繰り返し充放電特性(サイクル特性)には優れるが体積が嵩むため、達成可能なエネルギー密度に限界があった。
アニオンレセプター活用でサイクル特性の大幅向上など
そこで研究グループは、電解液に添加剤(アニオンレセプター)を活用することでのサイクル特性の大幅な向上とともに、溶解性の高い電極材料の固定化、電極―電解質界面のナノレベルでの制御等を行い、種々の材料でのサイクル特性や充放電特性の向上等に成功した。
なお今回の成果は、1)添加剤(アニオンレセプター)の活用によりサイクル特性を大幅に向上できたこと、2)大容量の硫化物電極材料を開発し反応機構を解明したこと、3)ナノレベルでの界面制御によりマイナス電荷を持つイオンを移動させる新規電池系を開発したこと、としている。
そして研究者らは今後、出力特性や安全性等も含め、車載用蓄電池として要求される性能を更に高めることで、実用化が早められると期待する。
(画像はプレスリリースより)

NEDO プレスリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100543.html