電力変換損失を極小化
ルネサス エレクトロニクス株式会社は10日、太陽光発電パワーコンディシナ-やUPSなどの電力変換システム向けに、電力変換損失を極小化し、システムの電力効率向上に貢献する第8世代の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下IGBT)の「G8Hシリーズ」を製品展開したことを発表した。
新製品の特長として、まずは、プロセス構造に独自のトレンチゲート構造を採用し、IGBT性能指数である高速スイッチング特性を低飽和電圧Vce(sat)特性の両立が可能になったことがあげられる。これにより、性能指数を最大30%改善することに成功し、ユーザシステムの電力効率向上を実現した。
次に、スイッチング時にゲートに発生するノイズを大幅に低減していることがあげられる。これにより、ユーザは従来ノイズ低減に必要だった外付けのゲート抵抗を削減でき、システムの小型化にも貢献している。
さらなる特長として、採用したパッケージ「TO-247」は、裏面が金属で形成され、IGBTの電力損失により発生する発熱を直接パッケージの外部に伝達できるので、放熱性能に優れている。175度の高温にも対応でき、ユーザシステムの性能と信頼性の向上が実現した。
新製品は、650Vのラインナップで40A、50A、75Aの3製品、1250Vで、25A、40A、75Aの3製品、合計で6製品のラインナップを用意しており、様々なインバータ回路方式、出力容量に応じて製品を選択することが可能となっている。
太陽光発電システムの発電性能が向上
太陽光発電システムにおいては、太陽光によって集めた直流の電流を交流に変換するインバータ回路を通過する際に、どうしても損失が発生する。この電力損失の多くは、パワーデバイスの電力損失が大半を占めることとなるので、IGBTの電力損失を低減させることが、ユーザシステムの発電性能に直結することとなる。
また、サーバルームやデータセンタで使用されるUPSシステムは、停電をしていないかチェックするため、電力は常時、電力変換回路を経由しなければならず、稼動しているだけで、定常的に電力損失が発生するが、この電力損失をいかに低く抑えるかが課題となっていた。
ルネサスは、こうした電力変換分野において、低損失IGBTの設計ノウハウを生かし、業界最小レベルの電力損失を実現した、第8世代の最新IGBTプロセスの開発に成功、この度製品化を実現したものである。
(画像はプレスリリースより)

ルネサス エレクトロニクス株式会社 ニュースリリース
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