独自製法で耐久性・安全性に優れる二次電池開発に成功
日立造船株式会社は2月18日、硫化物系固体電解質を使った全固体リチウムイオン電池を開発したと発表した。性能上も、従来の電解液系リチウムイオン二次電池と同等であることを確認済みという。
小型で軽量化が図れるリチウムイオン二次電池は、スマホやノートPCなどの携帯端末用の電源として広く利用されているが、電池内部の電解液に有機材料を用いていることから、耐久性や安全性上の問題を有している。
このため、この解決策として同社は、固体を使った全固体リチウムイオン二次電池の開発に取り組み、独自の製法により耐久性に優れ、かつ製品化に適した全固体リチウムイオン二次電池の開発に成功したという。
小型化、環境対応、長寿命性能などの特徴も
この主な特徴は、同社独自の薄層成膜と加圧成型技術で、材料粒子間のイオン伝導性を向上させたことにより、従来必要だった加圧作業を要せず、大気圧下にて無圧のまま充放電ができること。
またこの電池は、本体部分の厚さが約0.3mmのフラット形状で、かつ電解質が固体で流動性を持たないことから電池の複層化が可能で、従来と比べ小型化できる。
そして、電池の評価として温度の影響を確認の結果、摂氏マイナス40度から摂氏100度での充放電が可能で、厳しい環境下でも使用できるほか、充放電のサイクルテスト結果では、理論上、一般的な使用条件で90%以上の容量維持率を約7年間保てることから、長寿命性能を持つとしている。
なお同社は、試作した薄膜電池を本田技術研究所ほか複数企業に提供して評価協力を受けており、今後は製品化に向けて生産設備を整備し、2017年度中のサンプル提供開始を目指すとのこと。
(画像はプレスリリースより)

日立造船株式会社 ニュースリリース
http://www.hitachizosen.co.jp/release/2016/02/002027.html