木質バイオマス中の成分物質量を正確に特定する新手法
京都大学の片平正人教授らは2月18日、理化学研究所のグループとの共同研究で、木質バイオマス中の様々な成分の物質量を正確に特定する新たな手法を、世界で初めて開発することに成功したと発表した。
これにより、木質バイオマスからバイオエネルギーや各種製品の原料を得る工程の確立が促進されるという。
化石資源の代替として期待される木質バイオマスは、多くの成分で構成されていて、木質バイオマスを利活用するための処理工程を確立するためには、個々の含有成分毎の物質量を正確に決定する必要があるが、従来はこれが難しかった。
すなわち、従来の核磁気共鳴法(NMR法)の一種であるHSQC法で得られた物質量には、各成分毎に異なる分子量や化学構造による歪みが含まれることから真の値とはズレが生じ、数値差が2倍にもなるケースもよくあったという。
バイオマスのほか生命科学分野での物質量決定にも有効
今回開発した手法は、同じNMR法の一種でもあるTROSY(Transverse Relaxation Optimized Spectroscopy)法によってこの歪みを求め、これに基づいて上記の物質量を較正することで、歪みのない真の物質量として決定できるもの。
そして木質バイオマスを用いて同手法の有効性を検証した結果、正しい物質量が得られることが確認されとのこと。またこの手法は、物質量の定量に歪みをもたらす全ての因子を排除できるオールマイティな手法としている。
なおこの手法開発により、多成分系の木質バイオマスからバイオエネルギーや各種製品の原料を効率的に得る工程を確立するのに役立つだけでなく、生命科学分野での物質量決定にも有効とのことだ。
(画像は京都大学HPより)

京都大学 ニュースリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/