森林の再生と地域活性化のための丸太燃料流通システム
千葉大学大学院工学研究科の中込秀樹教授は2月22日、木質バイオマスエネルギーの利活用を目指した研究開発を発展させ、総合的な事業を日本で初めてスタートさせると発表した。
今年4月から、千葉県の山武・長生地域を中心に3法人をサポートし、園芸ハウス暖房や温泉水加温用に供する燃料資材として、森林の伐採から丸太燃料への加工・配送と、丸太燃料加温器の販売・設置までを一手に引き受けるという。
この背景には、林野庁が林業の大規模化・集約化・機械化を推奨する「森林林業再生プラン」を新たに制定しているが、千葉県のような都市近郊の小規模な森が点在する里山地域には適用が難しい事情があった。
そこで同研究室は、H25~27年度に林野庁の「木質バイオマスエネルギーを活用したモデル地域づくり推進事業」により、都市近郊小規模森林の再生と地域活性化のための丸太燃料流通システムを構築、H28年度から3法人による自立事業を始めるもの。
地域での仕事創出と森林整備の両立を目指す
新規事業立ち上げのポイントは、薪・チップ・ペレットに比べ加工コストの低い丸太を燃料とするほか、伐採・集材・加工等の森林作業を、人手以外に自らの工夫による小型林業機械を併用して生産性を高め、低コスト化を図ったことという。
また、新たな丸太加温器の設置によりコスト増とならないよう、廉価な加温器をベースに高性能化の改良・改善を行うことで、性能とコスト目標の両立を達成したことなどを挙げる。
そしてこのビジネスは、伐採から燃料加工・供給、加温器の販売・設置までを一括して担うことで、加温器販売での燃料需要を自ら生み出せることと、常に燃料の需要と供給のバランスの適正化を図れることが大きな特徴という。
さらに、3法人のメンバー(約30人)がこの事業に関わることで、今後は自然の中での仕事に心の満足を求める若者達が増えていくとし、地域での仕事創出とともに、国土の大半(7割)を占める森林整備の両立を目指すこの事業の意義は大きいとしている。
(画像はプレスリリースより)

国立大学法人千葉大学 ニュースリリース(PR TIMES)
http://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000015177.html