拡大するEV市場
Research and Markets社がリチウムイオンバッテリー産業の概況と今後の動向予測に関するレポートを発表した。
レポートによれば、昨年2014年の電気自動車の売上台数は世界全体で約33万台に到達(約329,800台、前年比51.8%増)、うちプラグイン・ハイブリッド電気自動車は約115,500台、バッテリー電気自動車は約214,300台だった。
今年2015年の電気自動車の世界売上台数は、前半だけで204,300台に達した。石油価格下落の影響で日本とアメリカの売上台数は減ったものの、中国と欧州では増加した。
中国EV市場
2014年に約9.8GWh(前年比87%増、うち個人用乗用車約7.3GW、商用車2.5GW)であった電気自動車リチウムイオンバッテリー (EVリチウムバッテリー) の世界需要は、2015年前半だけで7GWhに到達。依然高い成長率を維持する市場の中で、とりわけ成長がめざましいのが中国市場。
中国では、2014年のバッテリー出荷量は3.7GWH(前年比470%増、うち商用車約2.1GW、個人用乗用車約1.6GW)に到達、2015年前半だけで約2.72GWとなり、2015年後半には電気バスの需要が爆発的に増加、2015年全体で11GWhの需要が見込まれている。
また今年前半、 計71%の国内市場占有率(BYDは17%で最大)となる中国の大手リチウムイオンバッテリー・メーカー13社(BYD、Guoxuan、ATL、天津Lishen、OptimumNano、Boston Power、Pride Batteryなど)の合計出荷量は100MWHに達した。
バッテリーのトレンド
電動バッテリーの分野では、現時点で大きな技術革新はおきていないが、価格競争と原料価格の低下によりバッテリーの価格は下がっている。
マンガンバッテリー(NCM、LMOなどを含む)のコストは400-550米ドル/kWhで現在世界の主流だが、流通量は2014年以降明らかな低下をみせている。
コイルから作る円筒形NCAバッテリー(the cylindrical NCA 18650 battery )は安い製造コストと安全性の高さから自動車メーカーに人気がある。
また、LFPバッテリーはパフォーマンスの弱さのために採用するメーカーは少なく、中国と米国で使われるのみで、米国ではLFPバッテリーのかわりに日本製、韓国製のマンガンバッテリーを採用する傾向にある。個人用車はマンガンバッテリー、商用車はLFPバッテリーを使う傾向がある。
リチウムイオンバッテリーに関しては、世界全体の傾向として各社が自社製品を開発する傾向にある。古参電機メーカーが電機メーカー製リチウムイオンバッテリーに乗り換えを促す一方で、本来電機メーカーのこの分野にバッテリーメーカーと自動車メーカーが次々に参入している。
BYD、Guoxuan、天津Lishen、 ATLがまずリチウムイオンバッテリーの分野に参入、その後OptimumNano、 Boston Power、 Pride Battery、BESK、Do-Fluoride Chemicals、CALB、 シェンチェンBAKが追って参入した形となった。
(画像はプレスリリースより)

Research and Markets社 プレスリリース(PR News)
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