半導体とは
半導体とは、導体(銅など電気をよく通す物質)と絶縁体(ゴムやガラスなど電気を通し難い物質)の両方の特性を持っている物質です。半導体の代表的な物質であるシリコンは、低温では絶縁体の性質をもっており、温度が上昇することによって、電子が流れやすくなる特性があります。
このシリコンにホウ素など3価の元素を加えると、p型半導体となり結晶内部に電子が欠落した「正孔」(ホール)が生成され、正の電荷が移動できるようになります。またヒ素など5価の元素を加えるとn型半導体となり、結晶内部に自由電子が生まれ、マイナスの電荷として移動可能になります。
太陽電池の原理
p型半導体とn型半導体を接合し、そこに太陽光を当てるとプラスの電気はp型半導体に移動し、マイナスの電気はn型半導体に移動します。このp型半導体とn型半導体に電極を付け、電灯などの負荷に配線すると電気が流れます。
シリコン系太陽電池の特徴
単結晶シリコン太陽電池は、もっとも歴史の古い太陽電池です。この太陽電池は、単結晶シリコンの塊を160~200μmにスライスして作製します。シリコン原子が規則正しく並んだ単結晶を用いるため、変換効率が高く(20%程度)、耐久性・信頼性にも優れていますが、生産コストが高めです。
多結晶シリコン太陽電池は,異なった面方位を向いた比較的小さな結晶がランダムに並んでいる塊を,厚さ200μm程度にスライスして作製します.単結晶と比較して効率は落ちますが(14~16%程度),製造が容易で安価なため最もよく普及しています。
アモルファスシリコン太陽電池は、基板上にシリコン薄膜を塗布して作製します。シリコン使用量が結晶系の1/100程度であり、低温で製膜できるため製造コストが安価ですが、変換効率が9%程度と他の太陽電池と比較して落ちます。しかし夏場の高温環境下では、効率が落ち難いメリットがあります。
化合物系太陽電池の特徴
化合物系太陽電池には、CIS系、CdTe系、Ⅲ-V族の3種類があります。CIS 系太陽電池は,シリコンの代わりに銅,インジウム,ガリウム,セレンなどからなる化合物半導体を使用した太陽電池です。
光の吸収率が高く,わずか2~3μm の厚さであっても光を十分吸収でき、変換効率は約13%あります。また製造工程が簡素で、製造コストを大幅に削減できます。CdTe系太陽電池は低コストで高効率な太陽電池ですが、毒性の強いカドミウムを原料として使用されているため、日本では普及していません。
Ⅲ-V族系太陽電池は、複数のpn接合を持つ多接合太陽電池です。この太陽電池は、波長の長い光から短い光まで多くの光エネルギーを吸収できるため、変換効率が高く30%以上あります。ただし製造コストが高く一般には使用されていませんが、宇宙用として利用されています。
有機系太陽電池の特徴
有機系太陽電池には、色素増感太陽電池と有機薄膜太陽電池があります。色素増感太陽電池は負極に酸化チタンを使用し、正極との間にヨウ素液などの電解液を注入して電子を移動させます。この太陽電池は、酸化チタンの表面に吸着させた色素で光エネルギーを吸収させます。
有機薄膜太陽電池は、2種類の有機半導体を混ぜて溶かした液を,電極の付いた基板上に塗布して薄膜にした後,薄膜上に電極を形成します。有機系太陽電池は、まだ研究段階ですが、低コスト化の可能性があり、効率の向上も見込めるため今後に期待されています。