水力発電とは
水力発電は、水の高い所にある位置エネルギーを利用して低い所に流し、そのときの運動エネルギーを水車で発電機に伝え、電気エネルギーに変換しています。ところでこの水力発電の源は海にあります。
海の水は、太陽の光で温められ蒸発します。蒸発した水は上空の雲となり、風に乗って陸地へ運ばれて行きます。陸地へ運ばれた雲は、山とぶつかりさらに上空に昇ります。雲は上空の冷たい空気に冷やされ雨となって、地上に降り注ぎます。雨水は発電を行ったあと再度海に帰ります。
この水力発電でできる電気(kW)は、9.8×水の量(m3/s)×落差(m)で計算できます。たとえば、1トン(1m3)の水が1秒間に1m落ちると、9.8(kW)の電気が発生します。これは一般家庭の3軒分の量にあたります。(経済産業省 資源エネルギー庁 水力発電について・キッズコーナー参照)
水力発電の種類
水力発電は、黒部ダムのように大きな貯水池を利用した大規模水力発電と、河川の水を貯めないで、流れ込みを利用する発電能力が10万kW以下の中小規模水力発電に分けられます。このうち1000kW以下の小水力発電は、新エネルギーとして固定価格買取制度の対象となっています。
水力発電の特徴
水力発電は時間の制約が無く、年間を通じて安定した発電が可能です。また出力変動が少なく、電力系統に悪影響を与えません。設備利用率は50~90%と自然エネルギーの中では最も高くなっています。さらにエネルギーの損失が少なく、変換効率が高いというメリットもあります。
いっぽうデメリットも何点かあります。大規模の水力発電所は、環境破壊の問題があり、長年の開発で今後建設可能な場所は、ほとんど無くなっています。さらに発電所は山間部に建設されることが多く、使用される町までの送電設備費用が高くなります。
小水力発電は、水の使用について利害関係が発生するため、全体の了解をとるのが面倒です。また河川管轄の問題で、法的な規制や多くの申請を必要とする場合があります。さらに台風など大雨による洪水で破壊される危険性もあります。
さまざまな小水力発電
この半世紀ほど、発電量がほとんど増えていない大規模水力発電ですが、小水力発電の導入ポテンシャルは数多くあります。基本的に落差と流量があれば場所を問わないので、農業用水路や上水道施設、既設発電所の放流水、ビルの循環水、工業用水などさまざまな場所で利用できます。
たとえば小水力発電(出力100kW未満)用として、水中ポンプの逆動作を利用した水中発電機一体型水車や上水道を利用した発電に適した横軸プロペラ水車(固定羽根)なども実用化されています。この水車は、既設配管の直線部等に直接配置することができ、実際に東京電力へ売電している事例もあります。
このほかにもYouTubeの動画には、小水力発電の開発事例が数多く紹介されていて、未来の地産地消のエネルギー供給源として期待されています。