スマートグリッドとは
スマートグリッドとは、現在の電気メーターの代わりにスマートメーターを取り付け、電力の遠隔開閉や遮断、使用量や発電量の監視を、情報通信技術によって行う次世代の電力網のことです。
電力事業者側の火力など既存の発電システムと風力・太陽光など自然エネルギーによる分散型電源を上手に制御し、安全で無駄のない電力の需要と供給のバランスを保つことが目的です。
さらに将来的には、家庭のエアコンや冷蔵庫、洗濯機などの家電製品を効率よく運転制御し、蓄電池やV2G、エネファームなどエネルギー貯蓄システムの有効活用などIotを利用したHEMSの制御システムもこのスマートメーターに含まれていく予定です。
IotとHEMSとは
Iot(Internet of Things)とは家電製品や車など物の情報をインターネットで「見える化」することです。そしてHEMS(Home Energy Management System)は、そのIotを活用して家庭内のエネルギーを効率よく消費し管理するシステムです。
蓄電池とV2Gの役割
太陽光発電など自然エネルギーの問題は、発電が天候や時間に左右され安定しないことです。このため余剰電力を蓄電池に貯め、発電が出来ない時間に使用すれば、効率的で有効なエネルギーの活用となります。
ここでV2Gとは、電気自動車(EV)の蓄電池と電力系統との双方向充放電システムのことです。大型の蓄電池は広い場所が必要となるため、EVにその役割の一端を担ってもらおうというものです。
スマートグリッド産業の市場規模
スマートグリッドはアメリカのオバマ大統領が内需拡大策として提唱したのがはじまりです。2009年「アメリカ再生・再投資法」の中でスマートグリッド関連には110億ドルの巨額な予算が付けられました。その後、世界中で自然エネルギーの普及に伴って研究が進んでいます。
スマートグリッドは電力・情報通信関連だけでなく、家電や住宅関連、自動車産業にまで新たな需要を生み出すと言われており、調査方法によりその市場規模は、食い違います。インフラ投資に限定すれば、野村證券金融経済研究所の試算ではアメリカ、欧州、日本で合計1兆2500億ドルに上ると見られています。
スマートグリッドの日本の取り組み
今年6月に開催されたスマートコミュニティJapan2015には、世界のスマートシティの事例が展示されていました。アメリカのニューメキシコ州の事例では、日本の企業数社も共同参加し、太陽光発電を導入した際のグリッドに与える影響やHEMSについて発表されてました。
スマートグリッドの課題
スマートグリッドを導入するにあたって一番の問題はコストです。スマートメーター自体は、電力会社が交換できますが、需要者側のシステムは需要者自身の負担となり、それだけのメリットが需要者にあるのか検討の余地があります。
さらに規格を統一する問題もあります。たとえばカメラに使用しているUSBケーブルや記憶メディアなどメーカーによって形状はまちまちです。また日本で主要な計装メーカー2社に統一性はなく、A社のセンサーはA社の機器でしか使用できない状況です。そして故障した場合の措置もよく吟味する必要があります。