日本の自然環境
日本は沖縄から北海道まで南北に長いため気温差があり、四季の間に梅雨があって降水量の多い国です。また周囲は海に囲まれて海洋資源に恵まれ、火山帯に位置しているため地熱資源も豊富にあります。
こうした恵まれた自然環境のなかで、日本の再生可能エネルギーは、何をどのように利用すれば有効なのでしょうか。
再生可能エネルギー導入のポテンシャルとは
環境省は、2011年4月に「平成22年度 再生可能エネルギー導入ポテンシャル調査」を発表しました。この調査は、太陽光と風力、中小水力、地熱の4種類の再生可能エネルギーについて、どれだけ資源活用が可能なのか調査を行ったものです。
ポテンシャルの高い再生可能エネルギー
この調査結果によると、最もポテンシャルが高かったのは風力発電で、洋上風力は16億kW、陸上風力は2億8000万kWあります。合わせて18億8000万kWとなり年間の発電量は3.8兆kWhとなります。日本の年間電力量需要は1兆kWhですから、約4倍の発電が可能ということです。
次に多いのは太陽光発電で、経済産業省が調査した住宅用と合わせると2.4億kWあります。年間発電量は2400億kWhになりますが、固定価格買取制度が始まった2012年の1年間で、この1/3近い7800万kWの設備認定の申請がありました。実際の導入ポテンシャルはもう少し高い数値なのかもしれません。
ポテンシャルが少ない分野にも期待が
バイオマス発電は環境省の調査対象には入っていませんでしたが、バイオマス活用推進会議の数値を参考にすれば216万kWです。環境省調査による中小水力発電の1400万kWと地熱発電の1400万kWを合わせると約3000万kWとなります。
バイオマス発電は、これまでに固定価格買取制度の認定を受けた発電設備が120万kWを超えていて、すでに予想ポテンシャルの半数以上です。さらに中小水力発電は河川や用水路などの形状をそのまま活用できることから、導入を検討している自治体も増えています。
日本は地熱の資源量が世界で3番目に多い国です。しかし地熱資源が豊富な場所は火山地帯にあり、その多くは国立・国定公園に指定されています。ところが昨今の規制緩和により、認可を受ければ開発が可能になりました。この地熱発電は、安定した電力供給が可能で、系統全体に大きなメリットがあります。
また地熱発電の分野で既存温泉に利用できるバイナリー発電は導入リスクが小さく、最近高性能な機器も開発されてきたことから、今後の需要拡大に期待が持てます。
日本のエネルギーの現状
現在、日本のエネルギー自給率は6%と言われています。日本は2000年代半ばまで、太陽光発電のシェアが世界一でした。しかしドイツにトップの座を奪われ、再生可能エネルギーの普及率も欧米諸国のように進みませんでした。
しかし2012年に固定価格買取制度が導入され、配電網の規制緩和や電力市場の規制緩和といったような、再生可能エネルギー促進につながる動きが見られこの2、3年は増加傾向にあります。