世界のエネルギー事情
世界のエネルギー事情は、いま急速に変化しています。化石燃料や原子力から再生可能エネルギーに転換していくなかで、いままで石油や電力を供給してきた企業が方向転換せざるを得ない状況が生まれています。
イギリスのエネルギー企業
BPは、イギリスに本拠を置くエネルギー関連企業です。石油ではスーパーメジャーと呼ばれる6社の内の1社ですが、太陽光発電や風力発電、バイオ燃料のビジネスも展開しています。
EDFエナジーはイギリスの総合エネルギー企業です。2009年には原子力発電事業者、ブリティッシュ・エナジーの株式を政府から購入し、イギリス最大の発電業者となりました。また風力発電所にも力を入れています。
フランスのエネルギー企業
トタル は、フランスのパリに本部を置く民間の総合石油エネルギー企業です。スーパーメジャーと呼ばれる6社の内の1社で、TOTAL, ELFブランドで展開しています。また2000年代に入り風力発電などの再生可能エネルギーへの投資も積極的に展開しています。
フランス電力会社(EDF)は、フランス最大の電力会社です。2004年11月までは完全な国有会社でしたが、それ以後は株式を公開して民間会社となっています。1967年には世界初の潮力発電所であるランス潮汐発電所を稼働させ、年間約6億kWhの電力量を発電しています。
エンジーは、フランスに基盤を置く電気・ガス事業者で、電力・ガスの供給量では世界2位の売上高を持っています。フランスにおいては、フランス電力に次ぐ電力事業者ですが、発電量の約70%は、水力発電、風力発電といった再生可能エネルギーを使用しています。
ドイツのエネルギー企業
エーオンはドイツ・デュッセルドルフに本社を置く世界最大の民営エネルギー供給事業会社です。ドイツ国内外で多数の原子力発電所・火力発電所・水力発電所を運営しています。しかし2016年に会社を2分割し、原子力・化石燃料による伝統的な発電事業から撤退すると昨年11月に発表しました。
ドイツは2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故後、原子力発電所の停止を決めました。そして再生可能エネルギーの発電比率は進み、この10年間で3.2倍に増加しました。このため市場に電気の供給過剰状態が生まれ、電力価格は大幅に下がり、火力発電所の収益性は悪化し赤字となっています。
その他欧州のエネルギー企業
ロイヤル・ダッチ・シェルは、オランダのハーグに本拠を置くオランダとイギリスの企業です。世界第2位の石油エネルギー企業で、スーパーメジャーの1社です。2000年代からは再生可能エネルギーにも力を注ぎ、 2013年7月には世界一のロンドン・アレイ洋上風力発電所を稼働させています。
アメリカのエネルギー企業
シェブロンは、アメリカのカリフォルニアに本社を置く石油関連企業で、スーパーメジャーの1社です。シェブロンは世界180ヶ国以上の国でビジネス展開している多国籍企業であり、燃料電池、太陽光発電、水素燃料、地熱発電など再生可能エネルギーへの投資を積極的に行っています。
再生可能エネルギーへの投資額
再生可能エネルギー発電および燃料分野への世界の投資額は、大規模水力発電を含めると、少なくとも3010億米ドルに達しています。これは化石燃料発電への投資額の2倍以上です。再生可能エネルギーへの投資額が化石燃料の発電設備より大きいという傾向は過去5年間続いています。
毎年5500億米ドル以上にのぼる化石燃料と原子力への補助金をなくせば、再生可能エネルギー市場の成長は、より大きくなる可能性があります。