太陽熱発電の仕組み
太陽熱発電は、太陽光をレンズや鏡を用いて集光し、その熱で水を蒸発させ蒸気タービンを回して発電する仕組みになっています。太陽光発電は光を直接電気に変換していますが、太陽熱発電は太陽光のもつ熱を電気に変換しています。
太陽熱発電の特徴
太陽熱発電には日射量の多い赤道に近い地域が適しています。つまりサンベルト地帯と呼ばれる、アフリカ北部、中東、アメリカ合衆国南部などの地域です。また装置の構造上、湿気や砂嵐が少ない地域が好まれ、蒸気タービンを利用する場合は、水分の有無も重要です。
太陽熱発電の種類
太陽熱発電は集光方式によって4種類に分けられます。トラフ型は今まで最も普及している方式で、半円状の鏡を利用して集光する方式です。リニア・フレネル型はわずかに凹面の細長い鏡の角度を少しずつ変えて並べ,数メートル上方にある集熱管に集光する方式です。
タワー型は,ヘリオスタットと呼ばれる太陽追尾装置を持つ平面状の鏡を多数用いてタワーの上部に置かれた集熱器で太陽の動きを追尾しながら集光・集熱する方式です。ディッシュ型は,パラボラアンテナ状の鏡を用いて集光し,焦点部分に設置されたエンジン やタービンなどによって発電するシステムです
太陽熱発電のメリット
この発電は太陽光発電のように半導体部品を必要としません。主要な部材は金属板(鏡)とパイプ、タービン、発電機など安価な材料のためコストを安く抑えることができます。またエネルギー変換効率は、太陽光発電の約10%に対し約40%と4倍もあります。
近年、集光集熱システムと、発電システムの間に蓄熱システムが備わるようになりました。この方式により昼間貯めた熱を夜間に使用して発電することが可能になり、24時間運転ができるようになりました。
太陽熱発電のデメリット
発電能力は日射量に大きく依存しているため、雨や曇天がつづくと発電できません。またこの発電は可動部分が多いためメンテナンスが欠かせません。
世界で普及している国は?
サンベルト地帯に位置するイタリアは、トラフ型集光装置と融解塩を利用した太陽熱発電施設を2013年シチリアに建設し稼動させています。
太陽の国とも呼ばれるスペインは特に導入活動が活発で、2012年6月末時点で1,581MW の太陽熱発電プラントが稼動しています。2011年セビリアに完成したGemasolar集光型太陽熱発電所は、ヘリオスタットを使ったタワー型の発電施設で24時間発電しています。
アメリカのカリフォルニア州モハベ砂漠では、世界最大のタワー式太陽熱発電所が2012年2月稼動をはじめました。発電能力は392メガワットで、14万世帯の電力をまかなうことができます。
2013年3月にはアラブ首長国連邦アブダビに出力100MWの集光型太陽熱発電所Shams 1が、またインドでは、ラジャスタン州やグジャラート州で、太陽熱発電プラントの建設が進んでいます。
日本の取り組み
日本は地理的条件が悪く、これまで太陽熱発電には向いていないと思われていました。しかしイタリアやスペインなどの太陽熱発電設備には日本企業の製品が数多く使用されており、今後技術の向上により普及する可能性があるため実験プラントも稼動中です。